延暦寺は大津市坂本本町にあります。『滋賀県百科事典』によりますと、概要は「相応和尚(831~918)は、近江浅井郡の人で、慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)に師事して天台の奥義(おうぎ)をきわめ、とくに秘密法は当代一といわれ、宮中にしばしばめされて、天皇や皇后の病気を加持(かじ)し、霊験(れいげん)をあらわす。また不動明王を信じ、比叡山無動寺、葛川明王院をひらいて、比叡山の代表的実践行である回峰行(かいほうぎょう)を創始したとつたえられている。和尚の肖像はあまりのこっていないが、この図はそのなかでは最もすぐれ、無動寺谷明王堂に長きにわたって伝来してきたものである。礼盤上にほとんど横向きに坐し、手には念珠をとり、傍の高坏上に独鈷杵(どつこしょう)と五鈷鈴(ごこれい)をおき、礼盤下に草履(ぞうり)をぬぎすてる何気ない型姿は、和尚の質実な生活態度を再現している。(中略)わが国の肖像画のなかでも特筆すべきもので、制作は鎌倉時代も早いころとおもわれる。重要文化財。(上野良信)」とあります。
参考資料: 1 滋賀県百科事典 滋賀県百科事典刊行会∥編 大和書房 1984年 S-0300- 84 p.78,
参考資料:
2 大津の文化財 大津市教育委員会∥編集 大津市教育委員会 1998年 SB-7011- 98,
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