園城寺は大津市園城寺町にあります。『滋賀県百科事典』によりますと、概要は「唐院は868年(貞観10)仁寿殿を下賜されて中院の一画に移築し、円珍が唐から将来した経巻や法具類をおさめて伝法灌頂の道場としたのが始まりで、慶長再興にさいして金堂正面参道の西側に東面して大師堂をもっとも奥にし、唐門、灌頂堂、門と直線上に配して建立した。大師堂は1598年(慶長3)の棟札があり、正面3間で4.92m、側面2間で同寸法、宝形造(ほうぎょうづくり)の小堂で木造智証大師像を安置する。唐門は1間向唐門(むこうからもん)で、方柱頂に出三斗組(でみつどぐみ)の肘木(ひじき)を仕込んで虹梁(こうりょう)と実肘木(さねひじき)をかさねた桁(けた)をうけ、後方に控柱をたてている。茨垂木(いばらたるき)の裏板を厚板段張りとした手法がめずらしい。灌頂堂は大師堂にたいする拝所と灌頂の道場を兼ねる建物で、正面の柱間数5間で9.86m、側面5間で10.32m、方柱上に舟肘木(ふねひじき)、二軒疎垂木(ふたのきまばらたるき)で正面に軒唐破風(のきからはふ)をつけ、入母屋(いりもや)の妻飾(つまかざり)は木連格子(きづれごうし)、檜皮葺(ひわだぶき)の軽快な建物である。正面中央部は桟唐戸(さんからど)、その左右4間は蔀戸(しとみど)、南側面は腰高障子引違い、北側面は北舞良戸(まいらど)引違いである。内部は後の1間通りを杉戸引違いで区画し、広い間は内法長押(うちのりなげし)と天井長押をめぐらし、蟻壁(ありかべ)をつけて折上小組格天井(おりあげこぐみごうてんじょう)をはる。(中略)重要文化財。(成瀬弘明)」とあります。なお、文中の「唐から将来した経巻」は「唐から請来した経巻」の誤植と思われます。
参考資料: 1 滋賀県百科事典 滋賀県百科事典刊行会∥編 大和書房 1984年 S-0300- 84 p.138,
参考資料:
2 大津の文化財 大津市教育委員会∥編集 大津市教育委員会 1998年 SB-7011- 98,
参考資料:
3 近江文化財全集 上巻 近江史跡会∥編集 近江史跡会 1974年 SB-7000-1,
参考資料:
4 滋賀県文化財目録 平成15年度版 滋賀県教育委員会文化財保護課∥編集 滋賀県教育委員会 2004年 SB-7000-03,
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