河内レンコンは大阪の伝統野菜の一つで、鶴見区はその一大産地でした。ただし現在栽培されているのは、河内の在来種ではありません。『なにわの伝統野菜』などによれば、在来種は細く貧弱なため収益性に劣るので、北河内郡北島村(現門真市)の人々が、大正9年頃に石川県と岡山県から品質・収穫量にすぐれた「加賀」と「備中」の2品種を導入し、その後改良も重ね「河内レンコン」と呼ばれる特産物となったということです。また『大阪市農業誌』 p65によれば、焼野(現鶴見区)では、大正12 (1923)年頃高田藤吉が上記の加賀蓮を大正14 (1925)年に備中蓮を導入し、従来の池はすを改良して収穫量をのばしました。こちらは「茨田レンコン」と呼ばれたとあります。
『なにわ大阪の伝統野菜』 p62によれば、最盛期は1965年から75年の昭和40年代で、栽培面積が400haに達しましたが、その後都市化の影響で急速に栽培が減少し、平成11 (1999)年度の統計では「門真市を中心に計約11haとなりました」とあります。『大阪の園芸 平成14年産』では7haに減少しています。
『シャモとレンコン畑』では1960年当時の写真を見ることができます。
参考資料:『なにわの伝統野菜』森下正博編集 大阪府立農林技術センター 2001 <当館書誌ID:0010165446>,
参考資料:『大阪府農業史』大阪府農業会議 1984 書誌ID 0080153118,
参考資料:『鶴見区昔ばなし』赤坂敏行著 ローカル通信社 1984 <当館書誌ID:0070117924>,
参考資料:『大阪府の郷土料理』上島幸子[ほか]著 同文書院 1988 ISBN 4-8103-5033-9<当館書誌ID:0000164455>,
参考資料:『大阪市農業誌』川端直正編集 大阪市農業団体協議会 1960 <当館書誌ID:0070080489>,
参考資料:『なにわ大阪の伝統野菜』なにわ特産物食文化研究会編著 農山漁村文化協会 2002 <当館書誌ID:0010259040>,
参考資料:『大阪の園芸 平成14年産』大阪農林統計協会 2003 <当館書誌ID:0010634025>,
参考資料:『大阪春秋111号 おおさかの伝統野菜』大阪春秋社 2003 <当館書誌ID:0010554329>,
参考資料:『シャモとレンコン畑』田中幸太郎著 光琳社出版 1993 ISBN 4-7713-0138-7<当館書誌ID:0000350951>,
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