本の野菜・果物が甘い理由として、気候、土壌等の環境面を挙げている資料は見当たらなかったが、以下の資料等に参考となりそうな記述があった。
1 『日本の園芸』(園芸学会監修 朝倉書店 2006)
p1に、日本は飲み水の品質がよく、野菜も1年を通じて容易に入手できたため、飲み水代わりやビタミンC摂取のために果物を食べる必要がなかった、というような趣旨の記述のあと、「しかも、長い間、最も重要な果物は干しガキであった。砂糖が生産できなかったので、それは最も甘い食物であった。このため、日本人は果物を生活に必要の食物というより、ぜいたくな食物、すなわち菓子と考えるようになったと思われる。」と書かれている。
2 「グリーンジャパン」のHP
次のような日本経済新聞の記事が紹介されている。
「高糖度青果物の国内生産広がる」2004年2月13日日本経済新聞
「青果物で甘さを強調した高糖度品の国内生産が拡大している。」「(前略)若年層を中心に糖度を求める傾向が強まってきたためだ。」
http://www.greenjapan.co.jp/kiji_kotoudo.htm
3 「NPO法人 野菜と文化のフォーラム」のHP
「野菜のおいしさ検討部会報告書 平成21年度」の[まえがき]に、「(前略)巷に流れている甘みを中心としたおいしさ評価は、野菜本来の力「地味」を忘れたものであり、(後略)」と書かれている。
http://www.yasaitobunka.or.jp/Frameset-05oisisa.htm
4 「日本果物商業組合連合会」のHP
連載「果物屋さんの園芸利用学」の2009年6月に掲載されている「果物の誤解」(香川短期大学名誉学長 北川博敏)という記事の中で、「最近の果物の糖度は以前に比べ1.2度程度高くなっているが、(後略)」という中央果実基金協会の指摘が引用されている。
http://www.kudamono.or.jp/engei/0906/09_06.html
5 独立行政法人 農畜産業振興機構のHP
「野菜のおいしさとその評価」(社団法人 おいしさの科学研究所
理事長/香川大学名誉教授 山野善正) 今月の話題 2009年9月
「最近、果物も含め何もかも甘くて柔らかいものが好まれる傾向にあり、生産者もこれに同調しているのは本当にどうかと思います。」と書かれている。
http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/0909/wadai1.html
6 独立行政法人 農畜産業振興機構
「日本の野菜を見直す」(女子栄養大学 名誉教授 吉田企世子)
今月の話題 2008年5月
ロンドンで食べた野菜を美味しいと感じられなかったが、「同じ野菜でも品種、土壌、施肥内容、栽培技術、気候条件などが食味に影響するので、それらの明確な試料を売ることが困難であったため、その原因が何かは残念ながらわかりませんでした。」と書かれている。
また、イギリスと日本の野菜を比較し、「美味しい野菜の主要因は、個々の野菜がそれぞれ特有の微妙な甘みを有することです。」
「野菜は、収穫後の呼吸作用が活発であり、その際にまず分解されるのは糖ですから、収穫から店頭に届くまでの温度、湿度条件、流通時間、その他がどう管理されているかを把握しなければなりません。」
「日本は、野菜の品種改良や栽培技術が非常に優れていること、また流通技術がすすんでいることなど、改めて実感しているところです。」と書かれている。
http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/0805/wadai1.html
参考
2 Googleを「青果物 糖度」で検索
3、6 Googleを「野菜 甘味」で検索
4 Googleを「果物 糖度」で検索
(インターネット最終アクセス日 2013年2月6日)
回答プロセス:当館OPACを件名「蔬菜」、「果実」で検索した資料の内容を確認した。『日本の園芸』には参考になりそうな記述があったが、次の資料には参考になりそうな記述は見当たらなかった。
『果実の事典』(杉浦明編集 朝倉書店 2008)
『野菜 畑から食卓まで』(吉田企世子編 女子栄養大学出版部 1991)
『野菜の博物学 知って食べればもっとオイシイ!?』(青葉高著 講談社 1989)
『日本の野菜』(青葉高著 八坂書房 1993)
『野菜の生産・流通技術 30年の軌跡』(野菜供給安定基金編 農林統計協会 1996)
『野菜の成分とその変動 土壌環境からのアプローチ』(吉田企世子編著 学文社 2005)
次にGoogleで「青果物」や「果物」という言葉を「甘み」や「糖度」と掛け合わせて検索したところ、農畜産業振興機構ホームページ等の参考となりそうな記述がヒットした・
(インターネット最終アクセス日:2013年2月6日)
参考資料:『日本の園芸』(園芸学会監修 朝倉書店 東京 2006)(0105927009),
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