官報とは、一言で言うと「国の機関紙」です。法令の公布から、国の報告や資料、入札情報等の公告など、国に関係するすべてのことをお知らせする、国の広報紙の役割をしています。最も大きな役目は“法令を公布すること”で、官報で告知されると「知らなかった」は通用しなくなってしまいます。とはいうものの普段はほとんどなじみがありませんが、よく読んでみると実はいろいろなことに広く活用できます。行政機関が休みの日を除き、毎日国立印刷局から発行されています。官報に掲載されること法令の公布憲法改正、詔書(国会召集、衆議院解散など)、法律、政令、条約など公報=公の機関する広報国会に関すること、公務員の人事異動、叙位・叙勲・褒賞、皇室に関すること、官庁の報告、閣議決定事項、国際収支情報公告各省庁の押収物還付・建設業の許可の取消処分、政府調達、特殊法人の公告として日銀営業毎旬報告・高速道路会社の工事完了・工事開始、地方公共団体の公告として公債抽選・公債償還・行旅死亡人・無縁墳墓会葬、裁判所の公告として除権決定・破産・会社更生法関係、会社の公告として合併公告・決算公告官報でこんなことも・国民の休日 前年2月最初の官報で発表されます。春分・秋分の日は、それまで決定していません。・地価公示、政治団体の収支報告書、特殊法人の決算財務諸表・皇室情報行幸のスケジュール、宿泊先までわかります。歌会始で選ばれた歌や人も紹介されています。・国家試験合格者の名前が発表されるものもあります。自分の名前が載っているとうれしいですね。・公聴会の予定 ・仕事情報「号外政府調達」は入札情報が満載。会社だけでなく個人でも出来る、翻訳・通訳、写真、製図のような仕事も載っています。・決算報告一般紙より安い料金で掲載することができます。・手形・小切手・株券を紛失したら悪用されないための法的な対応、公示催告-除権判決の公告をすることができます。官報の使い方官報は、「官報(本紙)」、「官報号外」、「官報政府調達」、「官報目録」からなっています。また突発的な事態には、「号外特」が発行されます。効率的に利用するには、目次や目録、webを組み合わせて使います。1 官報を直接見る・目次を読む官報には記載される記事の順番が決まっていて、最初に必ず目次がついています。・目録を見る詔書から告示まで、法令別・省庁別に、題・掲載日・号数・ページ数をまとめたもの。緑色の紙に印刷され、翌月8日前後にでます。・『法令全書』を利用する法令全書は、官報で公布された法令を日順・種類別・各官庁別に月毎にまとめたもので、翌月25日に前月分が発行されます。新聞でいう縮刷版のようなものです。2 インターネットを利用する・インターネット版官報 (http://kanpou.npb.go.jp/)
1週間分の官報をみることができます。 ・官報バックナンバー(首相官邸) (http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/digest-bk.html)
1年分の官報をみることができます。 ・かんぽう (http://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoList/?op=1)
1996年6月3日以降の目次が検索できます。・官報資料版(首相官邸) (http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo-shiryo/index.html)
官報資料版は各省庁の「白書」類、統計資料、報告等が掲載されていましたが、平成19年3月末で終了しました。平成9年8月6日から終刊時までの資料版を見ることができます。・政府調達について (http://www.jetro.go.jp/gov_procurement/)JETRO(日本貿易振興機構)のホームページで見ることができます。3 官報情報検索システム(https://search.npb.go.jp/)を利用する 昭和22年5月3日からの官報の全文検索ができます。有料会員制ですが、埼玉県立図書館では無料でご利用いただけます。埼玉県立図書館では浦和図書館・官報 明治16年7月(復刻版)~現在・法令全書 明治元年~昭和22年(復刻版) 昭和45年~現在 熊谷図書館・官報 平成15年~現在 ・マイクロ版官報 明治16年7月~平成14年12月久喜図書館・官報 5年前~現在官報の歴史官報は1868年の明治政府設立直後に出された「太政官日報」が始まりとされていますが、明治15年の山縣有朋の建議により、明治16年7月から本格的に刊行されるようになりました。官報の題字は、時の太政大臣・三条実美が書いたものです。明治の官報は法の公布のほかに文化欄などもあり、新聞的要素が強かったようです。大正12年の関東大震災の際は印刷局の建物が全壊し、ガリ版刷りで号外を出したこともあるそうです。戦後は占領軍の命で「英文官報」が発行されたり、戦後の物価統制のために「物価版」が発行されたこともあります。官報は近現代史を研究するには欠かせない史料でもあります。
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