ご照会の事項について回答します(【 】内は請求記号です)。
唐破風の計算方法について記述のある資料を以下に紹介します。
(1)柳井浩「日本建築における屋根の曲線-抄」(『オペレーションズ・リサーチ』36(3) 1991.03 pp.146-153【Z4-108】)
日本建築における屋根の曲線について、作図法を収集し、現代数学によって書き換えたとあります。「3.唐破風の曲線」(pp.148-149)では、唐破風の作図法を式と図で解説しています。
(2)藤原恵洋「明治以降における唐破風曲線の評価と応用」(『デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design』(90) 1992 pp.57-64【Z11-1454】)
唐破風曲線について、その評価の歴史的経緯を述べた上で実際の応用例に関する歴史的考察を行っています。お尋ねの内容については、伊東忠太による「数学的分析による唐破風曲線の構造(1894)」の図(数式はありません)(p.58)と、「唐破風曲線の形と引渡勾配」("阿部今太郎『日本建築図集』を基に作成"とあります。)の図(p.60)("角bacの傾斜=bc/ac=引渡勾配"という数式が添えられています。)があるのみです。
資料(1)に参考文献として挙げられている資料を確認したところ、以下(3)の資料にお尋ねの事項についての記述がありました。
(3)『実用規矩術(さしがねつかい)』(佐久間田之助著 槙書店 1966【525.2-Sa537k2】)国立国会図書館デジタル化資料(館内限定)
「14.3. 破風の割り方、眉抉り(まゆじゃくり)の仕方、破風鼻の繰り方、拝みの組み方、前包みの抉り(しゃくり)方」(pp.156-158)に「唐破風」の項があり(pp.156-158)、付図とともに解説しています。数式はありません。
同じく資料(1)に参考文献として挙げられている資料(4)(5)につきましては、いずれも目次等からはお尋ねの事項についての記述があるか否かは不明でした。
(4)『日本建築の意匠と技法』(大岡実著 中央公論美術出版 1971【KA74-7】)
(5)『江戸科学古典叢書. 16 (隅矩雛形.矩術新書)』(恒和出版 1978.10【M32-28】)
[その他調査済み資料]
・『大分県における青海波唐破風 : 大分の技・神崎瓦 瓦風土記』(生野盛編 佐賀関町文化財研究会 1990.10【KA171-E7】)
・『古建築の細部意匠』(近藤豊著 大河出版 1973【KA74-10】)
・多米淑人 吉田純一「独立型拝所の建築形式の特徴--若狭地方の拝所の建築的研究(その1)」(『日本建築学会計画系論文集』74(645) 2009.11 pp.2481-2487【Z16-107】)
・田中康弘「現場レポート 広島県 広島市指定重要有形文化財東照宮唐門及び翼廊--建物及び工事の概要と唐破風の瓦について」(『文建協通信』(98) 2009.10 pp.79-81【Z71-D367】)
・増渕靖裕「現場レポート 広島県 重要文化財國前寺本堂--向拝唐破風納まりの検討」(『文建協通信』(76) 2004.4 pp.92-96【Z71-D367】)
・佐藤正彦「大工河村家所蔵の大棟門などの木割り」(『九州産業大学工学部研究報告』(38) 2001 pp.225-232【Z14-341】)
・川口三男「小規模作業所におけるコンピュータ活用の施工管理手法 歴史的古代建造物復元工事におけるCAD活用」(『施工』(404) 1999.06 pp.40-43【Z16-72】)
インターネットの最終アクセス日は2012年10月16日です。
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