ルキリウスに宛てた手紙の体裁で書かれたセネカの文章(書簡95)に引用されていた。
『セネカ哲学全集』6(岩波書店)所収の「倫理書簡集」Ⅱには「私は人間だ、人間に関わることで私に無縁だと思うことは何もない。」(p189,大芝芳弘訳,テレンティウス『自虐者』からの引用との注あり)と訳されている。
『道徳書簡集 倫理の手紙集』全(東海大学出版会)には「わたしは人間だ。人間的でないものは何一つわたしには無縁だと考える。」(p484,茂手木元蔵訳,テレンティウス『己れを責める者』からの引用と訳注にあり)と翻訳されている。
また中野孝次『セネカ現代人への手紙』(岩波書店)にも訳出されている。(テレンティウスとの関連について説明なし)
回答プロセス:館内にあった名言集や引用句辞典には見あたらなかった。
『世界大百科事典』(2011年刷発行,平凡社)で「テレンティウス」の項を引くと、セネカの引用した言葉が「自虐者」という作品で使われ、「homo sum.humani nihil a me alienum puto.」と綴られることが分かった。
googleブックスで、「Homo sum. Humani nihil a me alienum puto.」と「Seneca」をキーワードにして検索したところ、下記の一文が見つかった。
Seneca's letters to Lucilius quote two passages only of Republican drama, one an ^oc, trrep6ev from a tragedy by Naevius,224 the other Terence's homo sum: humani nil a me alienum puto.
『小学館ランダムハウス英和大辞典』(1994年刷発行,小学館)によると、Terenceはローマの喜劇作家テレンティウスとある。
そこでテレンティウスのLucilius宛の書簡集にあたる『セネカ哲学全集』6(人名索引付,岩波書店)と『道徳書簡集』(東海大学出版会)を取寄せて、内容を確認した。
(『ブリタニカ国際大百科事典』によりLucilius宛の書簡集として『道徳的書簡集』があることが分かり、セネカの著書から上記2書誌を推定した。なお『ルキリウスへの手紙』(近代文芸社)は未確認)
参考資料:『セネカ現代人への手紙』中野 孝次/著(岩波書店), (p250)
備考:中野孝次『セネカ現代人への手紙』(岩波書店)p250
「我は人間なれば、人間に関わることにおいて何一つ我に無縁なるものなし。」として訳出してある。テレンティウスへの言及はない。
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