延暦寺は大津市坂本本町にあります。『滋賀県百科事典』によりますと、概要は『不動三尊および四大明王四?は、延暦寺秘宝館に安置されるが、本来は叡山無動寺明王堂の主尊である。しかし、不動三尊と他の四?とでは作風の上からみて製作期がことなる。不動三尊は江戸期のもので、他は鎌倉末期~南北朝にかけてのものとおもわれるから、もと四大明王と同時期に造像された不動尊(三尊形式ではなく独尊であったとおもわれる)があったと考えられ、その像が何らかの事情でうしなわれ、この不動三尊がもちいられたものであろう。(中略)以下簡略にその像容を述べると、不動は巻髪、天地眼、牙上下出現の安然様不動尊で、像高69.0cm、制多迦(せいたか)童子は岩座に坐して宝棒(こんぼう)を把り、矜羯羅(こんがら)童子も岩座に坐して、右手に蓮華、左手に経巻をとる。像高37.6cm。降三世(こうさんぜ)は三面八臂で足下に大自在天(だいじざいてん)と烏摩(うま)をふみつける。像高80.7cm。軍荼利(ぐんだり)は一面八臂で身に蛇がまきつく。像高84.1cm。大威徳(だいいとく)は四面六臂六足で水牛にのる。像高73.1cm。金剛夜叉(こんごうやしゃ)は三面六臂で手に金剛杵と金剛鈴をとり踏割蓮華上にたつ。像高86.8cm。構造はすべて寄木造、彩色像である。(中略)重要文化財。(井上一稔)」とあります。なお、通常は五大明王像ですが、この像の場合明王像は4?です。また文中の「製作期がことなる」は「制作期がことなる」の誤植と思われます。
参考資料: 1 滋賀県百科事典 滋賀県百科事典刊行会∥編 大和書房 1984年 S-0300- 84 p.82,
参考資料:
2 大津の文化財 大津市教育委員会∥編集 大津市教育委員会 1998年 SB-7011- 98,
参考資料:
3 近江文化財全集 上巻 近江史跡会∥編集 近江史跡会 1974年 SB-7000-1,
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