江戸時代通用の寛永通宝鉄銭の俗称。元文4(1739)年から発行。
幕府は元文の改鋳の際、銅から鉄に原料を切り替え、一文銭を大量に鋳造し通貨供給量を増加させた。明治30年まで通貨として流通していたので俗称もその頃まで使われていたようだ。
回答プロセス:広辞苑にて‘なべぜに’を調べる。ずくぜに、なべせん、びたせん等の別の呼び方がわかる。
『古銭語事典』にて上記の言葉を調べるが、なべぜに・ずくぜに・なべせんの項目はなく、びたせんのみ記述有。びたせんとは「鐚銭」と書き、私鋳された粗悪な鋳の総称で、鎌倉末期より作られて使用されたとのこと。
「なべぜに」について国史大辞典を調べたところ、「なべせん」の項目有。江戸時代通用の寛永通宝鉄銭の俗称。「なべぜに」とも呼ばれる。鉄から鍋を連想して自然に発生した呼称。一文銭が元文4(1739)年、4文銭が万延元(1860)年から発行された。との記述有。
『図録 日本の貨幣3 近世幣制の展開』第2節「近世中後期の貨幣および貨幣流通」のP147に「銭貨の増鋳」に当時の銭座の記述と元文4年ごろからの鉄銭の鋳造と流通についての記述有。
『古銭 その鑑賞と収集』江戸中期の改鋳P106-107に江戸の銭座から鉄が使用され、摂津加島、紀伊中之島、越後佐渡などの銭座も鉄銭に切り替えられたとの記述有。
参考資料:大鎌淳正 著. 古銭語事典 改訂増補. 国書刊行会, 1997.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002580856-00, 4336039070((337/オ))
参考資料:日本銀行調査局/編. 近世幣制の展開. 東洋経済新報社, 1974. (図録日本の貨幣 ; 3)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I010808903-00, ((337/ニ/3))
参考資料:瀬戸 浩平/著. 古銭 増補版 : その鑑賞と収集. 読売新聞社, 1969.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I024439864-00, ((337/セ))
↧