次の3点に掲載を確認。ただし、(1)、(2)は同じ編者なのに、出典が異なっている。(3)には出典なし。
(1)世界引用句事典 名言・格言・俚諺 梶山健/編 明治書院 1979.11
※p.303
「時の歩みには三通りある。未来はためらいながら近づき、現在は矢のように飛び去り、過去は永遠に静止している。 ~シラー『孔子のことば』」
(2)世界名言大辞典 梶山健/編著 明治書院 1997.11
※p.198
「時の歩みには三とおりある。未来はためらいながら近づき、現在は矢のように飛び去り、過去は永遠に静止している。 ~シラー『諦観』」
(3)心に響く名言辞典 国書刊行会/編 国書刊行会 1992.6
※p.134
「時の歩みに三重である。未来はためらいつつ近づき、現在は矢のように早く飛び去り、過去は永久に静かに立っている。~シラー(1759-1805)ドイツの詩人 」
回答プロセス:①シラーに関する次のような資料を見るが、見当たらず。
・シラーCentury books内藤克彦/著清水書院1994.7
・シラー生涯と著作新関良三/著東京堂1959.9
・シラーの美的教養思想南山大学学術叢書その形成と展開の軌跡内藤克彦/著三修社1999.3
・シラーの幽霊劇石川実/著国書刊行会1981.2
・シルレル論ディルタイ/著1947.4
・フリードリヒ・シラー美学=倫理学用語事典序説ユーリア・ヴェルンリ/著鳥影社2007.1
②後で、名言であることがわかり、上記(1)-(3)を発見。
③ドイツ名句事典 池内紀/〔ほか〕編 大修館書店 1996.5
※シラーの名句多数掲載されているが、該当無し。
④ネットでもこの句は散見されるが、出典は『孔子のことば』だったり、『諦観』だったり、まちまちである。
(後日追記)
(1)朝日新聞 2008/10/29 「天声人語」に次の記述あり。
「・・・◆ドイツの詩人シラーは「時の歩み」をこう詠じた。<未来はためらいつつ近づき、現在は矢のように速く飛び去り、過去は永久に静かに立っている>。時は金なりというが、飛び去った金はいずれ、ためらいながら戻ってくる……のだろうか。」
(2)東京新聞 2008/6/23【コラム】「筆洗」 に次の記述あり。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2008062302000094.html
「 ゲーテと並称されたドイツの作家シラーの言によれば<時の歩みは三重>になる。なぜなら<未来はためらいつつ近づき、現在は矢のようにはやく飛び去り、過去は永久に静かに立っている>からである▼・・・」
(3)朝日新聞 2004/1/10 新年を迎えて 日野原重明(92歳私の証・あるがまま行く) ※be週末 p.63
「・・・ところで、「時」というと、私は孔子の思想を採り入れて詩に詠んだシラーの言葉を思い出します。シラーの詩の「歓喜に寄す」が、ベートーベン作曲の第9交響曲第4楽章の歌詞になっていることは、よく知られていることです。
時の歩みは三重である。
未来はためらいつつ近づき、
現在は矢のように早く飛び去り、
過去は永久に静かに立っている 「ためらいつつ近づ」くのは、私にとっては死を包む「時」ということです。しかし余命があといくばくもない老人も、空を仰ぐように未来を考えると命がもっと広がっていくような感じがするのです。・・・」
(4)朝日新聞 2000/1/1 鼓動に耳を澄まして ミレニアム 新年特集第3部 p.77
「未来はためらいつつ近づき、現在は矢のようにはやく飛び去り、過去は永久に静かに立っている。(シラー)・・・」
(5)健康生き生き vol.16 いのちと時間~かぎりある未来の「時」をどう刻むか(KG-TOKYO.COM) http://www.kg-tokyo.com/memo/hinohara16.html
次の記述あり。
「・・・ゲーテと親交のあったシラーは。36歳のとき(1796年)に、次の詩を書き、これを「時間と空間―孔夫子の格言」と題した。孔子の書いた「論語」の中の言葉を自分の好みで解釈して、詩の題としたという説がある。
時間の歩みは三重です
ためらいがちに、未来はこちらにやってきます
矢のように早く、現在は飛び去り、
永遠に静かに、過去は立ち止まっています
シラーはさらに、
君は幸福に、そして賢く
人生の旅を終わりたいと思うなら?
ためらうものは、忠告するものと思い
それを君の道具とし給うな
飛び去るものは、友だちに選ばず
止どまるものは、敵にまわし給うな (「シラー瞑想詩集」小栗孝則訳、小石川書房)
という言葉を続けている。・・・」
また、この文章の出典として次の記述あり。
「聖路加国際病院理事長(関西学院旧制中学部卒)
日野原重明著「いのちの器」より」
(6)(5)で紹介されている
「シラー瞑想詩集」小栗孝則訳、小石川書房 は 当館所蔵なし。
(ゆにかねっとで1館のみ所蔵。NDLOPACでマイクロフィッシュ2点あり。)
なお、当館に次の所蔵があり、
・正義の書 / シルレル著 . -- 新人社 , 1950 . -- (人生叢書) (N)948
その内容に「瞑想詩集」を含んでいるが、該当する詩は確認できなかった。
(7)レファ協に次の関連事例あり
埼浦-2002-058
「朝日新聞 2000年1月1日 特集3部」に掲載されたシラーの詩「孔夫子の金言(1)」の訳者を知りたい。「未来はためらいつつ近づき、現在は矢のようにはやく飛び去り、過去は永久に静かに立っている。」という訳文。
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000018541
(8)レファ協を「シルレル」で全文検索すると、次のような事例もあり。
・ 太宰治の作品「走れメロス」に関係深い古伝説とシルレルの詩とはどのようなものか?また作品があれば見てみたい。・・・ (広島女学院大学図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000067759
・『ダモンとフィシアス』というお話で、子ども向けの資料があるかどうか。・30年前に学校の先生から聞いたおはなし ... (国立国会図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000056275
・太宰治が「走れメロス」の着想を得たというシルレル(シラー)の「担保」という詩を探している。 (埼玉県立久喜図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000034123
・ドイツの文学者シラー(当時の表記はシルレル)の作品で、明治36年(1903)9月以前で日本語に翻訳されたものと、その ... (岐阜県図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000040049
・太宰治の『走れメロス』のもとになった詩と作品の中で人質になった人は誰か知りたい (山梨県立図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000000762
参考資料:梶山健 編. 世界引用句事典 : 名言・格言・俚諺. 明治書院, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001437583-00,
参考資料:梶山健 編著. 世界名言大辞典. 明治書院, 1997.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002649590-00, 4625400732
参考資料:国書刊行会 編. 心に響く名言辞典. 国書刊行会, 1992.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002199478-00, 433603379X
寄与者:埼玉県立久喜図書館
備考:定番事例
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