『目で見る港区100年』p.176によると、東京タワーは、1958年(昭和33)12月23日、世界一高い総合電波塔として建設された。高さは333メートルで地上150メートルに大展望台があり、1967年(昭和42)には、250メートルの特別展望台が新設された、と記述がある。
『ニッポンの塔 タワーの都市建築史』p.75-76に、首都圏において複数の電波塔を一つに集約する総合電波塔を求める機運が高まり、アンテナを含めた高さにおいてエッフェル塔を超える380メートルの電波塔を建設する計画が立てられた。そこで、建設費用を捻出するため、観光客が集まる展望台を設け、なおかつ塔の下に5階建ての科学館の併設を計画した。塔の建設に先立って、建設及び管理・運営を担うべく、1957年(昭和32)に民間資本による「日本電波塔株式会社」が設立され、同社は、かつて料亭があり、古くから名所として著名な「紅葉山」を購入したと、記述がある。
p.77に、ちなみに建設地としては、上野公園も候補地となっていた。しかし、地盤の状況や国の中枢機関や各放送事業者との距離などを配慮して、港区の芝公園にある増上寺の境内が選定された。また浜松町から近く、羽田からの来客も呼び込みやすい利点も考慮されたようだ、と記述がある。
『港区史 第12巻 図説港区の歴史』p.237に、東京タワーの建設地には上野公園なども候補地となったが、地盤の状況や、交通の便のよい都心でしかも広い土地が得られる場所ということで、芝公園内に落ち着いた。自立式の鉄塔として当時世界最高を誇り、国産の材料と技術で建てられた日本の戦後復興のシンボルとなっていた、とある。
また同ページに、「タワー建設前の敷地」として、写真がある。
『東京タワーの20年』p.68-69によると、テレビ塔は都心でなければならず、東京で1万坪近い空地ということで、芝公園内が最良の地としてきめられ、7,000坪の土地を敷地とすることにした、とある。また、この土地は歴史的にも由緒ある土地だったとして、明治はじめの鹿鳴館時代に社交場となった有名な料亭として紅葉館が紹介されている。
『港区近代沿革図集 新橋・愛宕・虎ノ門・芝公園・芝大門・浜松町・海岸』p.58-75で、1897年(明治30))、1924年(大正10)、1937年(昭和12)には「紅葉館」を確認できるが、1947年(昭和22)には空き地になり、1986年(昭和61)には東京タワーになっていることが確認できる。
『発掘写真で訪ねる港区・品川区古地図散歩 明治・大正・昭和の街角』p.56-65「4.増上寺~浜松町~竹芝付近」の、1909年(明治42)、1916年(大正5)、1928年(昭和3)、1956年(昭和31)1980年(昭和55)の地図で、紅葉館から東京タワーの移り変わりを確認できる。
「紅葉館」の絵図と写真は下記で確認できる。
『明治の港区』p.60-61で当時の様子(絵図)を確認できる。
『発掘写真で訪ねる港区・品川区古地図散歩 明治・大正・昭和の街角』p.78に「芝紅葉館(大正期)」の写真がある。
『料亭東京芝・紅葉館 紅葉館を巡る人々』p.14に「紅葉館周辺」、p.245に「明治40年頃の紅葉館」と「東京タワー建設前の紅葉館跡地(昭和32年)」の写真がある。
『写された港区 一(芝地区編)新橋・芝・愛宕・虎ノ門ほか』p.105に「明治40年頃の紅葉館」と、「平成16年紅葉館跡地(現東京タワー駐車場付近)」の写真がある。
『東京写真帖』p.36 に、紅葉館の写真がある。
『UKIYO-E 名所と版元』p.29に、紅葉館は1881年(明治14)に開業した高級料亭。第二次世界大戦で焼失した。現在、東京タワーが建っているあたり、と記載がある。浮世絵の掲載もある。
東京タワー Tokyo Tower 公式ホームページによると、東京タワーは、開業当時の「日本電波塔株式会社」から、2018年(平成30)に「株式会社東京タワー」、2019年(令和1)に「株式会社TOKYO TOWER」に運営会社の商号を変更している。
(2023年1月更新)
参考資料:ニッポンの塔橋爪 紳也/著河出書房新社, (p.75-79)
参考資料:港区史[第12巻]港区総務部総務課/編集港区, (p.236-237)
参考資料:東京タワーの20年日本電波塔株式会社/編集日本電波塔, (p.64-69)
参考資料:発掘写真で訪ねる港区・品川区古地図散歩坂上 正一/著フォト・パブリッシング, (p.78,56-65)
参考資料:明治の港区東京都港区立三田図書館/編港区, (p.55-71)
参考資料:料亭東京芝・紅葉館池野 藤兵衛/著砂書房, (p.14p,13-30,245)
参考資料:写された港区一(芝地区編)港区教育委員会/編港区, (p.104-107)
参考資料:港区近代沿革図集新橋・愛宕・虎ノ門・芝公園・芝大門・浜松町・海岸港区立港郷土資料館/編港区, (p.56-79)
参考資料:東京写真帖田山 録弥/著日本葉書会, (p.36)
参考資料:UKIYO-E港区立港郷土資料館/編集港区, (p.29)
参考資料:目で見る港区の100年郷土出版社, (p.176-184)
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