「茶かぶき」とは,名を伏せていれたお茶の種類や産地を当てる,お茶の飲み当て遊び。「茶歌舞伎」「茶香服」という字も当て,別名「闘茶」ともいう。
「闘茶」は鎌倉時代末期に宋からもたらされたとされ,南北朝から室町時代中期にかけて,武家や公家,僧侶の間で流行。京都の栂尾(とがのお)産のお茶を本茶(ほんちゃ),それ以外の産地のお茶を非茶(ひちゃ)とし,茶の「本・非」を飲み当てることを競った。これが普及するにつれ勝負に豪華な賞品が賭けられるようになり,足利幕府は禁止令を出すに至った。この闘茶が茶かぶきのルーツとされる。
現在は玉露や煎茶を用いた「闘茶会」「茶かぶき」が各地の茶の行事のイベントなどで開かれている。
◎煎茶,玉露を用いる一般的なやり方
『知識ゼロからの日本茶入門』(山上 昌弘/監修 幻冬舎)
p123[利き茶で真剣勝負!「闘茶」]
やり方の手順が具体的。カラー図,写真あり。
『宇治茶大好き!(改訂版)』(京都府茶協同組合)
p21~22[お茶のみコンクール 茶かぶき]
やり方,得点表の図など,児童にもわかりやすい説明あり。
発行元である京都府茶協同組合のホームページ「お茶あれこれ・お茶のまめ知識」INDEXに「茶かぶきって何?」という項目があり,茶かぶきについてわかりやすい説明が載っている。また,この資料の全文が掲載されている。http://www.kyocha.or.jp/index.html(2010年11月25日確認)
『手づくりのお茶を楽しむ』(山背古道お茶探検隊/編 文葉社)
p119~123[茶かぶきで遊んでみよう]
やり方の手順が簡潔に説明されている。白黒だが場の雰囲気がわかる写真あり。
『宇治茶いい味いい香り』(竹村 嘉平/著 草思社)
p25~29[茶香服というお茶当ての遊び]
聞き書きの中に「丁稚のときにようやりました」と,流れについて語られている。
『茶壺に追われて ほっこり宇治茶のこぼればなし』(小山 茂樹/著 淡交社)
p50~53
「茶道七事式のひとつにある『茶カブキ』のように抹茶を用いて行うのが本来の姿ですが,一般には煎茶や玉露を用います。…現在ごく一般的に行われている方法は『五種五煎法』といって,五種類の茶を飲み当て,これを五回繰り返すことによって合計二十五点満点を競うものです。」
宇治と静岡の用いる茶の種類の違い,茶につける符牒の違いなどの記述あり。
この遊びの呼び方については「『きき茶』という呼び方はきき酒からきたもの。『お茶のみコンクール』とは誰にでも分かるようにと苦肉の命名。」とある。
『宇治市史 2(中世の歴史と景観)』(林屋 辰三郎/編集責任 宇治市役所)
p220~222[闘茶の流行]
「毎年十月に行われる宇治の茶まつりの行事のひとつに「茶香服」というのがある。…玉露や煎茶をとりまぜ,それぞれ花・鳥・風・月・客,または風・月・雲・草・鶴などの銘をつけ,名をふせておいて一種づつ飲んでは札を入れてゆく。…」
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