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19世紀のイギリスの家庭における化学実験に関する資料、及びその背景について記述した資料(1)~(4)が見つかりましたので、ご紹介します。なお、背景に関する記述は、化学のみを対象としたものではありません。詳細は利用者ご自身でご確認ください。
(1)『科学の社会史 : ルネサンスから20世紀まで』(古川安 著 南窓社 1989.7 【M37-E10】)
第5章「啓蒙主義と科学」(pp.79~96)のうちの「科学の大衆化」(pp.84~91)と、第9章「産業革命とイギリス科学」(pp.145~156)に、イングランドやスコットランドでの科学の公開講座や公開講演、家庭での実験、科学の啓蒙講演、簡便な化学実験装置のセット商品「ポータブル・ラボラトリー」(Portable Laboratory)の販売、一般向けの百科事典と科学記事についての言及があり、また、その背景の記述もあります。
(2)『科学革命と大学』(エリック・アシュビー 著 ; 島田雄次郎 訳 玉川大学出版部 1995.7 【M37-E61】
「Ⅰ海峡のかなたの科学」(pp.11~47)、「Ⅱ科学は海峡をこえる」(pp.49~78)、「Ⅲ技術が取りいれられる」(pp.79~99)において、19世紀のイングランドとスコットランドの大学における科学および技術の教育事情と、大学の外部での科学研究について描かれており、当時のイギリスでは国民的需要があったことが記述されています。
(3)『科学の社会史 : イギリスにおける科学の組織化』(D.S.L.カードウェル [著] ; 宮下晋吉, 和田武 編訳 昭和堂 1989.5 【M37-E23】)
第3章「イギリスの発展:1800-40」(pp.43~81)において、イギリスの職工達の科学に対する高い関心、職工学校と科学研究、科学的知識の普及によって期待されたことなどが記述されています。
(4)『マクミラン世界科学史百科図鑑. 3』(バーナード・コーエン 総編集 原書房 1993.11 【M31-E52】)
第6部「科学の驚異」の第30章「科学の驚異」(pp.360~384)のうち、図549「子供の科学実験室」(p.371)として「教育的科学キットの広告」が掲載されており「このような玩具は,1890年代にはじめて登場し,幼少のころに,未来の科学者を募集することを可能にした。」との解説が付されています。また、第1部「科学の環境」の第5章「自然の研究:実験室」(pp.43~49)のうち、図78「科学を用いた最初の商業広告」(p.49)として、実験室科学の様子を描いたカドベリーズ・ココア・エッセンスの広告が解説付きで掲載されています。
[その他の調査済み資料・データベース]
・『科学史技術史事典』(伊東俊太郎 [ほか]編 弘文堂 1983.3 【M2-196】)
・『世界科学・技術史年表』(都築洋次郎 編著 原書房 1991.3 【M2-E83】)
・『逸話で綴る科学・技術者物語』(玉川学園 編 玉川大学出版部 1977.6 【M37-39】)
・『科学と教育』(ベンーデビッド 著 ; 新堀通也 編訳 福村出版 1969 【M37-1】)
・『科学社会学の歩み : エピソードで綴る回想録』(R.K.マートン 著 ; 成定薫 訳 ライブラリ科学史 ; 2 サイエンス社 1983.4 【M57-52】)
・『科学の社会学』(ヨセフ・ベンーデービット 著 ; 潮木守一, 天野郁夫 訳 現代社会学入門 ; 12 至誠堂 1974 【M37-26】)
・『技術の歴史. 7 (産業革命 上) -- 増補版.』(チャールズ・シンガー [ほか]編 ; 田中実 訳編 筑摩書房 1979.1 【M31-47】)
・『新訳ダンネマン大自然科学史』(第7巻~第10巻 安田徳太郎 訳編 三省堂 1978.10~1979.6 【M31-42】)
・NDL-OPAC (https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・リサーチ・ナビ(http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/)
インターネット・データベースの最終アクセス日は2012年10月30日です。
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