昌芳山安養寺(大阪市西成区岸里東1丁目7-15)は、浄土宗知恩院派一心寺の末寺として、1689(元禄2)年に創建された尼寺です。境内には、浄瑠璃・相撲など、大阪文化にゆかりのある人物の墓や石碑があります。
【おさん】近松門左衛門の浄瑠璃「心中天網島」の主人公紙屋治兵衛に貞節を尽くした妻です。夫・治兵衛と遊女小春の心中事件の後、出家しました。晩年はこの寺の尼僧になったと伝えられています。
【猪名川弥右衛門(いながわやえもん)】大坂相撲の名力士です。1849(嘉永2)年、57歳で没。浄瑠璃「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)」の主人公「猪名川政右衛門(いながわ・まさえもん)」のモデルとされています。なお「猪名川政右衛門」のモデルになった別人物の墓が、西光寺(大阪府池田市)にあります。
【佐藤魚丸(さとううおまる/ぎょがん)】1752(宝暦2)年~1821(文政4)年、狂歌・浄瑠璃の作者。大坂・阿波座の商人で、当時流行した狂歌師グループの代表として活躍しました。
【永田貞柳(ながたていりゅう)】1654(承応3)年~1734(享保19)年、俳諧・狂歌作者。「狂歌中興の人」と呼ばれた大坂の町人。佐藤魚丸の師です。貞柳がこの寺に参詣したときに、柳を植えました。そのことを記念する石碑「貞柳翁種碑」が境内に建立されています。
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