『近江の飯・餅・団子』によりますと、「滋賀県の雑煮餅の形は、丸餅が多い(平成八年実施、滋賀大堀越研究室調査、五四九部回収、回収率六四%)。丸餅と答えた人の比率は、湖西が八一%で、ついで湖南が六四%、湖東六三%の順であった。角餅(切餅)と答えた人は、湖北一二%、湖東一三%、湖南一六%、湖西六%で、丸角両方の混在率は、湖北二四%、湖東二三%、湖南一八%、湖西一〇%であった。県全体で見ると、丸餅が六六%、角餅が一二%、丸角混在が二一%であり、滋賀は丸餅が主流であることがわかる。湖西、湖南に丸餅が多く、湖北、湖東は混在しているが、切餅が次第に多くなっている。」とあります。また、「滋賀の雑煮の味付けは、味噌と澄し比率が五五%対四五%であった。湖西は味噌仕立てが八二%とほとんどを占め、湖南では味噌仕立てが約三分の二、澄しが約三分の一であった。湖東は味噌と澄しが混在し、湖南より澄し比率が高くなっている。湖北は澄しが圧倒的で、八〇%も占めていて、味噌雑煮は少ない。白味噌と赤味噌のどちらを使っているかを見てみると、滋賀は白赤比率がおよそ二対一であった。京都に近い湖西、湖南はそれが四対一で、さらに白仕立てが多くなっていた。」とあります。さらに、「滋賀の雑煮の具は、サトイモ、ダイコン、ニンジン、油揚げ、青菜、豆腐、カブ、かまぼこ、ハクサイ、鶏肉の順であった。その中でもサトイモとダイコンの使用比率が群を抜いて高かった。「サトイモを雑煮に入れますか」の問いでは、湖南、湖東は「入れる」が七〇%と高かった。湖西と湖北は三四%、三〇%と低く、大きな地域差が認められた。雑煮に「具を入れない」比率は、湖西六%、湖北四%、湖東・湖南は二%であった」とあります。なお、『食文化要素からみた近江・伊賀・伊勢三国国境地帯の意義』や『滋賀の伝統的食文化図録』には、雑煮の形や味付けを地図上に落として、境界線がわかるようにしてあります。
参考資料: 1 近江の飯・餅・団子 滋賀の食事文化研究会∥編集 サンライズ出版 2000年 S-5900- 00 p.154-161,
参考資料:
2 滋賀の食事文化(年報) 第7号 飯・餅・団子特集 堀越昌子∥編集 滋賀の食事文化研究会 1998年 S-5900-7 p.23-28,
参考資料:
3 食文化要素からみた近江・伊賀・伊勢三国国境地帯の意義 野間晴雄∥[著] 滋賀大学 1991年 SP-5900- 91 p.294-297,
参考資料:
4 滋賀の伝統的食文化図録 堀越昌子∥編 野間晴雄∥編 滋賀大学 1993年 S-5900- 93 p.70-73,
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