ご照会の『髭の世の中』の出版地である長崎県早崎町について、下記の文献を調べましたが、該当する町名は見あたりませんでした。
なお、『髭の世の中』の奥付を確認したところ、出版地は「長崎縣東彼杵郡早崎町城ノ腰」、出版年は「昭和十四年八月廿五日發行」と記載されていましたので、「城ノ腰」に ついて調べたところ、文献1~6 に記載がありました。昭和14年(1939年)当時、長崎県東彼杵郡早岐町(現在の長崎県佐世保市早岐町)に城ノ腰という地名(小字名か)が存在したようなので、ご照会の早崎町は早岐町の誤り(誤植)ではないかと思われます。なお、文献2、6によると「城ノ腰」は「城ノ越」とも記載されるようです。
文献 【 】内は当館請求記号
1. 日本歴史地名大系. 第43巻 長崎県の地名. 平凡社, 2001.【GB11-44】
*pp.460-461に「早崎 口之津町早崎名」についての記載がありますが、早崎町については記載はありません。
*p.589「早岐村 佐世保市」の項に「陣の内に城ノ腰の地名があり、早岐氏の祖という山代囲が築城した跡という」と記載があります。
*p.1050「行政区画変遷・石高一覧 佐世保市」に早岐村の江戸時代から現在までの変遷表(東彼杵郡早岐村は佐世保市に合併)が掲載されています。
2. 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編纂. 角川日本地名大辞典.42 長崎県. 角川書店, 1987.【GB11-38】
*p.780に「はやさき 早崎」についての記載がありますが、早崎町については記載はありません。
*p.762に「〔近代〕早岐町 大正12年~昭和17年の東彼杵郡の自治体名・・・昭和17年佐世保市に合併」と記載があります。
*p.1460「小字一覧 里免」の項に「城ノ越」の記載があります。
*p.1091「はいきちょう 早岐町」の項に「早岐神社は速来宮ともいわれる。神社のある愛宕山は城の腰ともいわれ中世の松浦党が城を構えた所」と記載があります。
3. 旧早岐町佐世保市合併五十周年記念実行委員会郷土史編集委員会 編. 早岐郷土史概説. 旧早岐町佐世保市合併五十周年記念実行委員会郷土史編集委員会 ; 芸文堂 (発売), 1994.【GC276-H29】
*p.42「速来宮(早岐神社)」の項に「この地は古は早岐城がおかれ、幕末までは頂上は愛宕山と呼び・・・瀬戸に面した東南部を城の腰・・・といい」と記載があります。
4. 東彼杵郡教育会 編. 長崎県東彼杵郡誌. 名著出版, 1974. 東彼杵郡教育会1917年刊の複製【GC276-12】
*p.595「名所舊蹟」の項に「城之腰 早岐浦の東北なる丘陵にあり・・・現に早岐神社の所在地にして早岐公園あり」と記載があります。
5. 草野正一 著. 長崎県の小字地名総覧 : 主な小字地図と小字地名. 草野正一, 1999.【YQ5-548】
*p.303に「佐世保市(市町村名) 里免(大字・町) 城ノ腰(小字地名) じょんこし(読みがな)」の記載があります。
6. 平井聖 [ほか]編修. 日本城郭大系. 第17巻 長崎・佐賀. 新人物往来社, 1980.【GB97-45】
*p.110「早岐城」の項に「当城があった城ノ腰は、現在も三方を陣ノ内川と早岐瀬戸に囲まれて、市街地の中央に取り残されたように昔のままの独立丘陵の姿をみせている・・・城ノ腰(城ノ越か)の名と共に、当城をしのぶよすがともなっている」と記載があります。
その他の主な調査済み文献
・佐世保市史編さん委員会 編纂. 佐世保市史. 通史編 上巻. 佐世保市, 2002.【GC276-G39】
・佐世保市史編さん委員会 編纂. 佐世保市史. 通史編 下巻. 佐世保市, 2003.【GC276-H12】
・佐世保市市長室調査課 編. 佐世保市史. 国書刊行会, 1982.「総説篇」「教育篇」「産業経済篇」「政治行政篇」に分冊刊行. 佐世保市1953~19572年刊の複製. 4冊.【GC276-59】
・佐世保市史編さん委員会 編. 佐世保市政七十年史. 佐世保市, 1975. 2冊.【AZ-1311-168】
・長崎新聞社長崎県大百科事典出版局 編. 長崎県大百科事典. 長崎新聞社, 1984.【GB8-139】
↧