「闘志」と同じと思われる。
また、「闘」を「斗」と表記することについては、次の資料に関連情報あり。
・新潮日本語漢字辞典 新潮社/編 新潮社 2007.9
日販マーク内容紹介: 日本語としての漢字を知るための初の本格辞典。従来の漢文を読むための漢和辞典には記載されていなかった、通常の日本語の様々な異表記、異体字、熟字訓などを積極的に収録。創立110周年記念出版。
※p.999「斗」の項に次の記述あり。
「⑦(「トウ」と音読)「闘」の略字として使う。たたかう・たたかい とも読む。「斗争・OK牧場の決斗(映画)」」
・言葉に関する問答集 3 「ことば」シリーズ7 文化庁/編集 大蔵省印刷局 1977.3
※p.24「[問22]「巾」「斗」「才」「令」などの字を、それぞれ「幅」「闘」「歳」「齢」などの略字として使用するのは誤りか。」あり。
・新版 大漢語林 鎌田正ほか/著 大修館書店 2001.11
P.1155「闘」の項の「参考」に次の情報あり。
①俗に、斗で代用することがあるが不適。「戦斗」
②斗は簡化字。
・国語文字史の研究 8 国語文字史研究会/編 和泉書院 2005.3
※「一九六五~七五年度頃の略字(蜂矢真郷/著)」のp.200に「I 対象時代以前から、一般的に用いられていたもの(※略字)」として「闘→斗」の例示あり。また、p.210-211に「週刊朝日」74巻1号(1969.1)の「ミニ字評」欄の、「簡体字」(「D」氏執筆)の記事が紹介され、そのなかに「闘→斗」の例も含まれる。
なお、最後に次の記述あり。
「・・・以上、本稿は、一九六五~一九七五年度頃の、学生運動を中心に用いられた略字を挙げ、新形声文字などについて若干考察した。・・・」
・例解*誤字辞典 〈シリーズ〉日本人の手習い 土屋道雄/著 柏書房 2001.7
※p.161「とうそう」の項あり。「誤」として「斗争」、「正」として、「闘争」とある。
次の記述あり。「・・・学生や労組員の書く立看板にはたいてい「斗争」とあるが、それが雑誌の活字にまで入ってきたわけで、本当に頭の痛いことである。・・・」
・現代日本の異体字 漢字環境学序説 国立国語研究所プロジェクト選書 笹原宏之/著 三省堂 2003.11
※p.42に次の記述あり。
「・・・また、当用漢字の時代に盛んにとなった、表外字の表内字への書き換え(扮する→粉する、廃墟→廃虚、貫禄→貫録)や、いわゆる当て字(蒲団→布団、不便(ふびん)→不憫)にも、単字レベルでは、本来通用したもののほか、通用の概念が当てはまるものがある。表内字同士でも、「年齢」を「年令」、「万歳」を「万才」、「闘争」(闘う)を「斗争」(斗う)とするようなケースが見られる。」
・昭和を騒がせた漢字たち 当用漢字の事件簿 歴史文化ライブラリー 円満字二郎/著 吉川弘文館 2007.10
※「闘→斗」の例は見当たらない。
関連のありそうな記事として、次のものあり。
p.109-125「誤字を理由に解雇できるか」。内容に「誤字だらけのレポート」、「極端な略字の与えた印象」などあり。
・異体字解読字典 「難字大鑑」編集委員会/編 柏書房 1987.4
※p.17「斗」。「音訓の標記」に「たたかう」とあり。
p.317「闘」。「略(体)字」として「斗」あり。
・中国簡体字ハンドブック ビジネスマン・旅行者必携 近代書道研究所/編 岳陽舎 2007.8
※「第1章 簡体字字典」の「4画」のp.4「斗」あり。
「第3章 音訓から引く簡体字」のp.121「たたかう」に「闘-斗」、p.125「トウ」に「闘-斗」あり。
・(早わかり)中国簡体字 遠藤紹徳/著 国書刊行会 1986.5
※巻末「付表一 中国の略字と日本の常用漢字の対照表」p.2に中国の簡化字(略字):斗、日本の常用漢字:闘 あり。
巻末「付表二 常用漢字・中国略字対照表」p.27に日本の常用漢字:闘、中国の漢字:斗 あり。
・日中十書体字典 中国簡体字を含む 関鷺峰/著 マール社 1987.2
P.209「闘」の項の[中国常用]として、「斗」とあり。
・漢字異体字典 日外アソシエーツ編集部/編集 日外アソシエーツ 1994.7
※「斗」の項にいくつか異体字があるが「闘」はなし。「闘」の項にいくつか異体字があるが「斗」はなし。ただし、俗字として「もんがまえ」に「斗」の字が紹介されている。
・難字・異体字典 有賀要延/編 国書刊行会 1987.3
「斗」の項に「闘」に関する情報なし。ただし、読みに「たたかう」とあり。
「闘」の項に「斗」に関する情報なし。
回答プロセス:○次の資料には該当する記述が見当たらなかった。
・わかりやすい一表式誤字俗字・正字一覧 戸籍の氏又は名の記載・記録に用いる文字 法務省民事局第二課戸籍実務研究会/編 日本加除出版 1998.10 ※「斗」の字は収録されてない。
・何でもわかる漢字の知識百科 阿辻哲次/編 三省堂 2002.6
※索引で探して簡体字、異体字、略字などに関するページを見るが「闘→斗」の例は見当たらなかった。
・漢字百珍 日本の異体字入門 杉本つとむ/著 八坂書房 2001.12
※目次に「闘→斗」は見当たらなかった。
(関連情報)
○ウィキペディア「略字」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%A5%E5%AD%97
の
「略字と代用」に次の記述あり。
「・・・「闘」と「斗」は、正字と略字というよりはまったく別の文字である。また「編輯/編集」の「輯」と「集」も、正字と略字というよりは、まったく別の文字である。したがってこれらの関係は、「正字と略字」というより「正式用法と代用」という関係に当たるとも言える。・・・」
○所蔵していないが、関連のありそうな図書として次のものがある。
・異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科 小池和夫/著 河出書房新社 2007.7 (河出文庫 こ10-1)
・日本簡体字のすすめ 漢字をやさしく 榎村陽太郎/著 新風書房 1997.10
・略字常用辞典 漢字をやさしく 3 榎村陽太郎/著 新風舎 2006.12(新風舎文庫 え118)
○図書館の略字として「くにがまえにカタカナのト」という文字が、いつ頃から使用されていたかや、由来などがわからないか。(国立国会図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000030070
○「輯」と「集」について知りたい。(近畿大学中央図書館)
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000091864
(追記)
当館未所蔵資料だが、
・小学生の「にほんご」大疑問100 : 目からうろこ / 講談社. -- 講談社, 2000.8
※「Q11 「1ケ月の「ケ」を「か」と読むのはなぜ?~「八ケ岳(やつがたけ)」とか「千駄ヶ谷(せんだがや)」とか、「ケ」を「が」と読ませる地名もある。」の項
p.37に次の記述あり。
「・・・略字のつもりで正字とは関係のない別の漢字を使っている例は、「幅」を略した「巾」とか、「闘」を略した「斗」とか、探せばほかにもいっぱいあるよ。」
事前調査事項:「坊がつる讃歌」の歌詞に出てくる、とのこと。
参考資料:新潮社 編. 新潮日本語漢字辞典. 新潮社, 2007.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009117834-00, 9784107302151
参考資料:日へんに玉と書いた(「旺」のような)字は何か?読みや意味を知りたい。(香川県立図書館).
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000006-I000074265-00,
参考資料:土屋道雄 著. 例解誤字辞典. 柏書房, 2001. (シリーズ日本人の手習い)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003626185-00, 4760121013
参考資料:笹原宏之, 横山詔一, エリク・ロング 著. 現代日本の異体字 : 漢字環境学序説. 三省堂, 2003. (国立国語研究所プロジェクト選書 ; 2)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004265749-00, 4385361126
参考資料:円満字二郎 著. 昭和を騒がせた漢字たち : 当用漢字の事件簿. 吉川弘文館, 2007. (歴史文化ライブラリー ; 241)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009102769-00, 9784642056410
参考資料:「難字大鑑」編集委員会 編. 異体字解読字典. 柏書房, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001852577-00, 4760103325
参考資料:張敏 監修 , 近代書道研究所 編. 中国簡体字ハンドブック : ビジネスマン・旅行者必携. 岳陽舎, 2007.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009053044-00, 9784907737870
参考資料:有賀要延 編. 難字・異体字典 新装版. 国書刊行会, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011289734-00, 9784336054517
参考資料:阿辻哲次, 一海知義, 森博達 編. 何でもわかる漢字の知識百科. 三省堂, 2002.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003642112-00, 4385150478
参考資料:杉本つとむ 著. 漢字百珍 : 日本の異体字入門. 八坂書房, 2001.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003070102-00, 4896944844
寄与者:国立国会図書館
寄与者:近畿大学中央図書館
備考:定番事例。「戦闘」と「戦斗」、「闘争」と「斗争」など
↧