岡山市立建部町図書館に併設している江坂コレクションは、郷土の博物学者故・江坂進氏が採集した貝類約600種13,000点、化石類約50種700点、考古資料65遺跡約4,500点の中から展示を行っている。
土版塔は、この江坂コレクションの展示物のひとつであり、詳しい解説文等はないが、「土版塔(泥塔)」との表示がされている。
資料①によると、泥塔とは小型の土製の塔で、高さ7~8cmほどのものが多く、底面に経文を納めるために小孔を穿ったものもある。
資料②によると、豊楽寺(現・岡山市北区建部町)の本堂の裏山に一基の石塔があり、その下から素焼きの小さな土版塔が多数露出していて、昭和の初め頃までは、参詣の人たちが少しずつ持ち帰っていたと伝えられている。
また、昭和7年に岡山市在住の考古学者水原岩太郎氏が現地を訪れて調査し、昭和7年に「土版塔の研究」と題した冊子を発行した。
江坂進氏もこの調査に同行した。
※「豊楽寺出土の土版塔」の模写図もあり。
資料③によると、「豊楽寺の本堂裏にある経塚である土仏塚は、弘法大師が自ら土仏を作って納めたものと伝えられる。近年、五輪塔などを模した平安中期のものと思われる小さな泥塔が多数発見され、その一部が寺に保管されている。」とのことである。
※「保管されている泥塔」のモノクロ写真もあり。
以上の他、資料④、⑤があるが、古い資料のため、文字の判読が難しい箇所がある。
参考資料:①『日本考古学事典』三省堂, 2002, 930,52p.「泥塔」の項(p.595.)
②『建部町史 通史編』建部町, 1995, 652,7p. 第1章「建部町の原始・古代」第4節「律令制の展開と崩壊」 「豊楽寺の土版塔」の項(p.98-100.)
③『建部町史 地区誌・資料編』建部町, 1991, 825p. 第2章「福渡地区」第3節「豊楽寺」(p.235.)
④水原岩太郎『豊楽寺印仏之図 土版塔止研究』水原岩太郎, 1936, 60p
⑤「清水発見の土版塔」『吉備考古』35号,1937.10,
寄与者:岡山市立建部町図書館
備考:M2013090517455666028
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