池には水上飛行機やボートが浮かんでおり、滝や芝居小屋、料亭などもあって、別天地として賑わっていたそうです。ただし、東山動植物園の開園により廃れてしまったそうです。
『天白区の歴史 続』p.103-104や、『昭和区瑞穂区天白区さんぽみち』p.146-147、新聞「新愛知 昭和3年4月14日 朝刊7面」、『市民研究報告書 平成18年度昭和区・天白区』p.22などに記述や写真があります。
回答プロセス:1.天白区・昭和区(天白区は以前昭和区でした)の資料を調べました。
『天白区の歴史 続』p.103-104に「天白渓の遺跡」として、「青山宅旧址」と「青山の滝」について記載されています。滝は、下池の東南端にあり、主に上池の水が落下していたとあります。上下の池は桜村の用水池であったとも書かれていました。また、p.108に「八事山略図」として、天白渓の位置が示されています。
『昭和区瑞穂区天白区さんぽみち』p.146-147に「天白渓」について記載されています。所在地は天白区天白町八事裏山・山田とあります。著者の記憶と聞き書きによると、池にボートが浮かんでいたことや、竜宮城のような建物があったこと、上池には水上飛行機があり十銭で乗れたこと、下池は浅く子供が魚取りをしていたことなどが書かれています。また、「新愛知」の昭和三年四月十四日の記事が紹介されていました。
2.新聞記事を調べました。
「新愛知 昭和3年4月14日 朝刊7面」に、「土地から観た大名古屋(其一)八事の巻」という特集記事がありました。その6-9段目にかけて、「八事の別天地天白渓 瀧と池とラヂウムで名高い」といった記事や、「天白渓の瀑布」「天白渓(其一)」「天白渓(其二)」といった写真が掲載されています。また、懸賞募集の記事があり、絵葉書用の写真の募集がありました。記事によると、”周囲約半里の古潭と周囲約二十余町の絵のような池があり、常に小舟を浮かべ(中略)池水はラヂウムに富み(中略)十余丈の飛瀑があり”とのことです。
3.絵葉書を探しましたが、みつけることはできませんでした。
4.新聞記事より、当時のガイドブックに掲載されている可能性を考え資料を探しましたが、下記の1冊しか見つけられませんでした。
『大名古屋』p.194に、八事山一帯の附近に天白渓があるとだけ記載されていました。
5.インターネットで天白渓について調べました。
「天白歴史探訪マップ植田山・天白山コース」
PDFファイルがヒットし、昭和の初め頃に尾張百景の一つとして行楽地として賑わったことや、池に水上飛行機やボートが浮かび、芝居小屋や高級料亭「白水園」があったこと、東山動植物園の開園により衰退したことが書かれています。
名古屋都市センターの『市民研究報告書 平成18年度昭和区・天白区』
p.22に天白渓についての記述があります。"上池と下池を結ぶ水路には竜頭をかたどった船が人々を乗せて運んだ"、と書かれています。この資料は冊子体でも見ることができます。
サイト「日本の古本屋」
以前に『新名古屋名所 仙境天白渓 案内記』という資料を扱ったことがあるようですが、それ以上のことはわかりませんでした。
参考資料:浅井金松 著. 天白区の歴史 続. 愛知県郷土資料刊行会, 1987. (名古屋区史シリーズ ; 10)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001881714-00, 4871610470(p.103-104「天白渓の遺跡」、p.108に「八事山略図」)
参考資料:浅井 昭政/著. 昭和区瑞穂区天白区さんぽみち. 愛知県郷土資料刊行会, 1986.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005992183-00, 487161042X(p.146-147)
参考資料:新愛知 昭和3年4月14日 朝刊7面「土地から観た大名古屋(其一)八事の巻」, (6-9段目)
参考資料:名古屋市役所 編.大名古屋.1933., (p.194)
参考資料:「天白歴史探訪マップ植田山・天白山コース」http://www.city.nagoya.jp/tempaku/cmsfiles/contents/0000008/8299/uedayama.pdf,
参考資料:市民研究報告書 平成18年度昭和区・天白区. 名古屋都市センター, 2007. (研究報告書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I026098263-00, (p.22)
参考資料:日本の古本屋http://www.kosho.or.jp/list/690/06623061.html,
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