ホオズキが一般的な名前になった理由が書かれている資料は見つからなかった。
カガチ、アカカガチ、ヌカヅキなどの名前がどのような資料に載っているかを確認することはできる。(①~⑪)
また、国会デジタルで「ホオズキ and アカカガチ」などで検索することで、論文がヒットするので参考になる。
(1)『国文学研究12(2)』早稲田大学国文学会1944-11 pid7895426 コマ22・25
*質問者は学生で、課題として調べているとのことだったので、以下のように案内。
・『日本国語大辞典 12』小学館を紹介し、そこから必要な資料にあたってもらう。
・国会デジタルを案内し、「ホオズキ and アカカガチ」などで検索することで、論文などを調査してもらう。
③の資料を貸出。国会デジタルの調べ方と利用案内(公立図書館送信サービス)をした。
回答プロセス:(以下、紙媒体資料については丸数字、その他の情報については丸括弧付き数字を表記する。)
1 自館資料調査
①『日本国語大辞典 第12巻ほうほーもんけ』小学館国語辞典編集部/編 小学館 2001
p.30 ほおずき【酸漿・鬼灯】漢名、酸漿。かがち。あかかがち。ぬかずき。「古事記に八岐大蛇の眼をアカカガチのようだとして、「此に赤加賀知と謂へるは、今の酸漿ぞ」とあることから、ホオズキの古名がカガチ・アカカガチであったことがわかる。」とあり。
本草和名、源氏物語、文明節用集、俳諧・芭蕉庵小文庫、大和本草、日本植物名彙、栄花、評判記・吉原呼子鳥、講義本・根無草の用例あり。
②『日本国語大辞典 第1巻あ-いろこ』小学館 小学館国語辞典編集部/編 小学館 2000
p.122 あかかがち【赤酸漿】ほおずき(酸漿)の古名。出典に「信州随筆」柳田国男あり。
p.122 あかがち【赤酸漿】
③『定本柳田国男集 第22巻』柳田国男/著 筑摩書房 1970
p.282 信州随筆「書紀のアカカガチも酸漿とあるから同じものらしく~」*p.281小野氏の啓蒙の記文中。小野氏→小野蘭山『本草綱目啓蒙』
④『古事類宛 50 植物部2・金石部』吉川弘文館 1980
p.533 酸醤
『新撰字鏡』をはじめ、どんな書物にどのように記載されているか、たどることができる。
⑤『日本随筆大成 別巻9 嬉遊笑覧3』日本随筆大成編輯部/編 吉川弘文館 1979
p.225 嬉遊笑覧巻六下(児戯)ほほづき
⑥『大和本草 第1冊』白井光太郎/校注 有明書房
p.356 酸漿 *第2冊p.163には⑦にでてくる「ホウ」というカメ虫の一種の記載あり。
⑦『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎/著 北隆館 1963
p.544 ほおずき 「~茎に方言でホオとよばれるカメムシの類がよくつくのでホオズキの名がある。古名をカガチという。[漢名]酸漿」とあり。
⑧『園芸植物大事典 4ハニ~メツ』塚本洋太郎/総監修 小学館 1989
p.411 [ホオズキの民俗]に「近世の江戸を中心に手遊び用に愛用され~『嬉遊笑覧』は、ほおずきあそびはすでに『栄華物語』『源氏物語』などにみえるが~」とあり。
⑨『食べる薬草・山野草早わかり』主婦の友社/編 主婦の友社 2016
p.130 ホオズキ 『古事記』に赤加賀智(アカカガチ)がでてくるが、アカカガチは赤いホオズキの意味で、このころはホオズキをカガチと呼んでいた。平安のころの呼び名はヌカヅキで、その後ホオズキになっている。『本草和名』(918)は酸漿の漢名に対し、和名を保保都岐(ホホツキ)とし、一名奴加都岐としてある。ホオズキの語源について『大和本草』(1708)は、ホオという臭虫が好んでこの葉を食べるからだと述べている。小野蘭山はこれをおかしいとしているが『牧野新日本植物図鑑』(1977)は『大和本草』の説を載せている。
➉『和漢三才図会 下』寺島良安/著 東京美術 1976
p.1327 酸漿
⑪『広文庫 第18冊ほ~む』物集高見/共著 名著普及会 1977
p.193 酸漿 ほほづき
【その他参考資料】
『国史大系 1 日本書紀』黒坂勝美/編 吉川弘文館 1974 p.70
『国史大系 第7巻 古事記』黒坂勝美/編 吉川弘文館 2007 p.23
『新編大言海』大槻文彦/著 冨山房 1982 p.17アカカガチ、p.1891ホオズキ
2 国会デジタル
(1)『国文学研究12(2)』早稲田大学国文学会1944-11 (pid7895426 コマ22・25)
「酸漿と山吹」戸井田道三
・新撰字鏡にはカガミゴ、ヌカツキと二つの呼び方があり、本草和名にはもうホホツキ、ヌカツキとあってカガミゴの語は見えないから其頃既にカガミゴといふ言葉も忘れられていたものであろうか。
・カガ系統とツキ系統の呼び方があったとしてよいであろう。
(2)『児戯叢考』前田勇/著 弘文社 S19 (pid1062565 コマ68-74)
(3)『皇学館大学紀要(12)』1974-3 (pid1764560 コマ7-9)
「古事記と日本書記」西川順土
・日本書紀の漢字の語句の訓はアカカガチ。古事記はアカカガチは酸漿のことであるとする。いわば仮名書のもとの意味を示したもの。アカカガチの語では古事記編者には意が通らない為に酸漿のことであると言う、いわば語釈である。
<その他調査済み資料>
『植物和名語源新考』深津正/著 八坂書房 1995
『美し、をかし、和名由来の江戸花図鑑』田島一彦/著 パイインターナショナル 2019
『植物和名と方言』並木和夫/著 ニューサイエンス社 1983
『木の名の由来』深津正/著 東京書籍 1993 p.76
『当て字の辞典』東京堂出版編集部/編 東京堂 2009 p.81
ウェブサイト・データベースは令和6(2024)年3月17日確認
事前調査事項:・質問者調査済み資料
『植物和名の語源探究』深津正/著 八坂書房 2000
『草木名の語源』江副水城/著 鳥影社 2018
『植物和名の語源』深津正/著 八坂書房 1989
『漢字の植物苑』円満字二郎/著 岩波書店 2020
『語源辞典 植物編』吉田金彦/編著 東京堂出版 2001
『古典文学植物誌』国文学編集部/編 学灯社 2002
参考資料:日本国語大辞典第二版編集委員会 編. 日本国語大辞典 第12巻 第2版 ほうほ-もんけ. 小学館, 2001-12.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I1423922382,
参考資料:日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第1巻 第2版. 小学館, 2000.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002951007, 4-09-520950-X
参考資料:柳田国男 著. 定本柳田国男集 第22巻 新装版. 筑摩書房, 1970.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I11121100570874,
参考資料:日本随筆大成編集部/編. 嬉遊笑覧 3. 吉川弘文館, 1979. (日本隨筆大成 : 別巻9)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I42111007015212004,
参考資料:貝原篤信. 大和本草 第1冊. 有明書房, 1983.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I25110064988,
参考資料:牧野富太郎著, 前川文夫, 原寛, 津山尚編. 学名解説 : 牧野新日本植物圖鑑. 北隆館, 1963.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130000797463768192,
参考資料:青葉高 [ほか]編. 園芸植物大事典 4 (ハニ~メツ). 小学館, 1989.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001998238, 4-09-305104-6
参考資料:主婦の友社 編. 食べる薬草・山野草早わかり : 食べて効く!飲んで効く!. 主婦の友社, 2016.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I027129489, 978-4-07-412330-8
参考資料:寺島良安 著. 和漢三才図会 下. 東京美術, 1976.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I25111080751,
参考資料:物集高見 著 ; 物集高量 著. 廣文庫 第18冊 ほ~む 〔覆刻版〕. 名著普及会, 1977.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I22211100040103,
参考資料:早稲田大学国文学会 [編]. 国文学研究 12(2). 早稲田大学国文学会, 1944-11.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000008456-d7895426,
参考資料:前田勇 著. 児戯叢考. 弘文社, 1944.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000675359,
参考資料:皇学館大学 [編]. 皇学館大学紀要 (12). 皇学館大学, 1974-03.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000007538-d1764560,
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