1 「最新図書館用語大辞典」 図書館用語辞典編集委員会 編. 柏書房, 2004.4.
p.157-159「雑誌」の項に次の記述あり。
「・・・雑誌は情報の新鮮さが生命である。したがって、最新号は貸出期間の短縮、もしくは館内利用に限るなど、なんらかの制限をされることがほとんどである。利用の多いものについては複本の用意等も必要である。・・・」
2 図書館のホームページでの説明例(確認:平成25年2月5日)
(1)前橋市立図書館
https://www.tosyokan.city.maebashi.gunma.jp/qa/index.htm#net209
・雑誌の最新号はどうして貸出できないのですか?
新しい情報をより多くの人に閲覧していただくためです。
(2)桜井市立図書館
http://www.library.sakurai.nara.jp/original/faq/faq_a.html
雑誌の最新号は、なぜ借りることができないのですか?
雑誌の最新号は利用の要望が高いため、多くの方に利用していただけるように館内閲覧のみとし、貸出は行っていません。次の号が登録された時点で、借りていただけるようになります。
(3)千里金蘭大学付属図書館
http://www.kinran.ac.jp/library/use/pdf/kanpou13.pdf
著作権法について
みなさんは、雑誌の最新号のコピーや貸し出しがなぜ出来ないのか知っていますか?
これは、著作権法に基づいて制限されているものです。
著作権は著作者の権利と著作隣接権に大別されます。
著作者の権利としては、著作者の人格的利益を保護する著作者人格権と経済的利益を保護する著作権があります。
著作者人格権とは公表権(無断で公表されない権利)、氏名表示権(名前の表示を求める権利)、同一性保持権(無断で
改変されない権利)があります。
著作権(財産権)とは、複製権(無断で複製されない権利)、上演権・演奏権(無断で公衆に上演・演奏されない権利)、
上映権(無断で公衆に上映されない権利)、公衆送信権(無断で公衆に送信されない権利)、譲渡権(無断で公衆に譲渡
されない権利)、貸不権(無断で公衆に貸不されない権利)などがあります。最近では音楽レコードの還流防止措置、
罰則の強化など、著作権は日常生活にも深くかかわっています。
著作権は、著作者の権利保護によって、文化の発展を目的としているものです。
著作権を違反しないように、心がけることが、文化の発展に丌可欠となっています。
なお、詳しく知りたい方は、文化庁のHPや財団法人著作権情報センターHP、図書館の本などを参考にして下さい
(4)大阪市立図書館へのご意見・ご要望 >これまでにいただいたみなさんのご意見から
http://www.oml.city.osaka.jp/ikenbbs/iken2.html
○ご意見・ご要望など○
福島区で先日引越し後、初めて図書館を利用しました。新刊の雑誌を見るのにいちいち貸出の手続きをしなくてはいけないことに驚きました。今まで転勤で各地の図書館を利用してきましたが、このような制度は、はじめてです。新刊こそ色々パラパラと見たいのにどうにかなりませんか?
≪図書館より≫
地域図書館では、最新号の雑誌につきましては最新の情報を一人でも多くの利用者に提供するため禁帯出とし、紛失、切り取り等を防ぐため、カウンター内取り込みとしております。また、ご利用にあたっては、どの雑誌がどなたにご利用いただいているかを把握する必要から館内閲覧の貸出手続きをとっております。ご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。(2012年4月)
(5)よくあるご質問:国際基督教大学図書館
http://www-lib.icu.ac.jp/QandA/FAQ.htm
どうして雑誌は貸出しないのですか?雑誌は現在、地階またはASRSに所蔵されている(主にバックナンバー)を、4年生以上の学生と教職員へ貸出する事以外に貸出は認めていません。全学生が貸出できれば確かに便利ですね。しかしそれはあなたが「今目の前にあるこの雑誌を借りたい」時の意見であって、「探していた雑誌が貸し出し中」だった時の意見ではないはずです。図書館では「いつでも誰でも雑誌が貸し出せる」メリットより「図書館にくればいつでも雑誌がある」メリットの方を優先しています。ご理解お願いします。
(6)大分県立図書館ホーム >お知らせ >今までのご意見箱から
http://library.pref.oita.jp/kento/information/comment/
「雑誌の貸出しについて」(ご意見箱より)
70代の男性から
総合雑誌等は、分量が多いので読むのに時間がかかる。
そこで雑誌の貸出ができると助かる。最新号が無理ならバックナンバーを貸し出すとか、利用状況の良好な利用者に限って貸し出すとか、何とかなると嬉しいのだが。
県立図書館より
県立図書館では、雑誌の貸出は行っておりません。
雑誌は一般に製本が簡易で傷みやすいため、繰り返しの貸出には耐えません。また発売期間が短く、亡失や汚破損した場合は補充が困難であることから貸出をせず、保存に重点を置いています。
雑誌にはシリーズものや時代を反映した記事が多く、バックナンバーも継続して欠号無く保存することで資料としての価値が高まることからです。
なお、県立図書館では県内の市町村立図書館と連携して県内全域への図書の提供を行っていますが、雑誌については当館が保存の役割を担っています。
また、雑誌の保管については、九州各県の県立図書館が分担して保存の役割分担を担っております。≪図書館より≫
3 その他
図書館の貸出に関する情報を含む
次の資料を確認したが、直接参考になる記述は見当たらなかった。
・貸出し 図書館員選書 前川恒雄/著 日本図書館協会 1982.3 015.3
・貸出と案内の技法 植田喜久次/著 日本図書館協会 1999.10 015.3
・図書館と法 図書館の諸問題への法的アプローチ JLA図書館実践シリーズ 鑓水三千男/著 日本図書館協会 2009.10 011.2
備考:著作権関係事例
雑誌の最新号を貸出しない理由は、
著作権の考え方と無関係ではないが、
著作権法そのものは貸出を禁止する理由にはならないと思われる。
(関連情報)
「著作権なるほど質問箱(文化庁)」に次のようなQ&Aあり。(確認:平成25年2月5日)
Q3 公共図書館ですが、ある学術雑誌に掲載された1つの論文全体をコピーしてほしいとの申請がありましたが、雑誌の一部分であれば、著作権者の許可を得ずにコピーしてもよいのですか。
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000329
原則として論文全体をコピーはできませんが、当該論文が発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された著作物であると認められれば、例外的にその論文全体をコピーすることができます(第31条第1号)。なお、「発行後相当期間経過」の意味ですが、「通常の販売経路において当該定期刊行物を入手することができない状態」(著作権審議会第4小委員会報告書)とされており、例えば月刊誌の場合、一般的には次号が出れば「相当期間経過」といえるのではないかと考えられます。
Q12 図書館におけるコピーサービスで、新刊雑誌に掲載されたひとつの記事についてコピーの申請がありましたが、そのひとつの記事の一部分であれば、著作権者の許可を得ずにコピーしてもよいのですか。
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000516
コピーできます。著作権法では、発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物の全部のコピーをしてもよいことになっているので、新刊雑誌の記事は一切コピーできないという誤解をされている方もおられますが、このような場合においても原則に戻り、著作物の一部分であればコピーすることはできます(第31条第1項)。もっとも、図書館の方針で新刊雑誌のコピーサービスはしないと決めるのは自由です。
Q26 図書館のコピーサービスは、本来著作物の一部分の複製が認められると聞きましたが、雑誌等の定期刊行物の場合も同じですか。
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000534
発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物の場合は、例外的にその全部を複製することができます。
著作権法では、図書館の機能に着目し、一定の条件の下に、著作権者の了解なしにコピーサービスができることとしています(第31条)。このサービスは、通常公表された著作物の「一部分」に限られますが、発行後相当期間を経過した定期刊行物の場合は、例外的な措置が認められています。なお、「発行後相当期間を経過」とは、「通常の販売経路において当該定期刊行物を入手することができない状態」を意味すると解されており(著作権審議会第4小委員会報告書(昭和54年))、例えば、月刊誌や週刊誌の場合であれば、少なくとも最新号が発売され、バックナンバーの購入が困難な状態をもって発行後相当期間を経過したといえると考えられます。
(関連情報)
・ 「最新図書館用語大辞典」 図書館用語辞典編集委員会 編. 柏書房, 2004.4.
p.13「一夜貸し(いちやがし)」次の説明あり。
「図書館資料を閉館の一定時刻前から翌日の開館時間から一定定刻までの制限つきで館外貸出しすること。主として一部の参考図書、雑誌など一般的に貸出していない資料を対象とする。」
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