春の彼岸に食べるのが「ぼたもち(牡丹餅)」で、秋の彼岸に食べるのが「おはぎ(御萩・萩の餅)」。小豆の収穫時期に関係し、春にはこしあん、秋にはつぶあんが食べられていた。
ただ、現在は同じものが季節によって、呼び分けられている。呼び名は地方によって異なったり、お店によって異なったりする。
回答プロセス:1.『広辞苑 第五版』p393より「おはぎ:はぎのもちの別称。」、p2124「はぎのもち:煮た小豆を粒のまま散らしかけたのが萩の花に似ているのでいう。また、ぼたんに似るから牡丹餅(ぼたもち)ともいう。」とあった。「ぼたもち」を調べると、p2461に「はぎのもちに同じ」とある。
2.『暮らしのことば新語源辞典』p190に記述あり。「(前略)秋の彼岸の時は『お萩』、春の彼岸の時は『ぼた餅』と呼ぶのが一般的。」とあるが、あんこの種類のことは書いてなかった。
3.『日本料理行事・仕来り大事典 用語編』p39には「おはぎ【御萩】秋の彼岸の代表的菓子。その季節の花が萩であることから。現在では、春の彼岸に作られるぼた餅と同じものだが、もともとは餅の外側をあんでおおったものを『ぼた餅』、蒸したもち米をそのまま丸めてあんをまぶしたものを『おはぎ』と呼んだといわれる。」とある。こちらの資料では、あんの種類ではなく、中身の違いが書いてあった。p245「ぼたもち【牡丹餅】」には各地方で呼ばれる別名が掲載されていた。さらに「(呼び分けについては)いろいろな説があるが、現代では区別しないのが一般的になっている。」とあった。
4.『和菓子の絵事典 見て、知って、作ってみよう 五感で味わう「和の文化」 』p14にも同じような記述があった。
5.インターネットで「おはぎ」と検索。「おはぎとぼたもち、本当の違い」というサイトで「ぼたもちは、牡丹の季節、春のお彼岸に食べるものの事で、あずきの粒をその季節に咲く牡丹に見立てたものなのです。一方、おはぎは、萩の季節、秋のお彼岸に食べるものの事で、あずきの粒をその季節に咲く萩にに見立てたものなのです。」とあり、さらに「秋のお彼岸は、小豆の収穫期とほぼ同じで、とれたての柔らかい小豆をあんにすることができます。柔らかい皮も一緒につぶして使うので、つぶあんができます。春のお彼岸は、冬を越した小豆を使うことになりますが、皮は固くなっています。当然固くなった皮をそのままに使っては食感が悪くなります。そこで皮を取り除いた小豆を使い、こしあんができます。よって春のぼたもちはこしあんで、秋のおはぎ は粒あんだったのです。しかし、今では保存技術の発達や品種改良により、春でも皮のまま使うことができる小豆が登場してしまい、この理由は意味がなくなってしまったのです。」とあった。
6.上記のことを利用者に提供。
参考資料:新村出 編. 広辞苑 第5版. 岩波書店, 1998.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002742770-00, 4000801112
参考資料:山口佳紀 編. 暮らしのことば新語源辞典. 講談社, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009898623-00, 9784062653404
参考資料:小倉久米雄, 小松崎剛, 畑江敬子 監修. 日本料理行事・仕来り大事典 用語編. プロスター, 2003.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004254069-00,
参考資料:俵屋吉富, ギルドハウス京菓子京菓子資料館 監修. 和菓子の絵事典 : 五感で味わう「和の文化」 : 見て、知って、作ってみよう. PHP研究所, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009412342-00, 9784569687957
照会先:「おはぎとぼたもち、本当の違い」http://allabout.co.jp/gm/gc/223752/(2012.3.6確認)
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