仁木義長の伊勢国内での動向が分かる古文書等の史料は見つけられませんでした。
以下の市町村史に仁木義長の名が出てきますが、『太平記』をもとにした記述が多く、独自の史料を用いたものではありません。
○『美里村史』上巻(平成6年発行)p150~153「南北朝動乱期の長野氏」という章で仁木氏と国人長野氏との関係を述べているものの、義長の動きについては『太平記』をもとに記述しており、史料(文書等)の引用はありませんでした。
○『二見町史』(昭和63年発行)p96~97「南北朝は悪党の時代」という項目のなかに出てきます。「三津砦を築いたという仁木義長について『太平記』は次のように述べている」として、仁木義長が大神宮領を押領し神主らが訴えたという部分を引用しています。三津砦については『伊勢名勝志』(宮内黙蔵著、明治22年刊)に「仁木砦址」として記載があります。このほか『勢州軍記』のはじめに仁木義長の名前が見えますが、戦国時代に入る前の伊勢国での各勢力を簡単に述べただけのものです。『伊賀旧考』に「仁木義長之乱」の項目があり、3行ほど記述があります。北畠氏(伊勢国守)関係の資料も見ましたが独自の史料は見つかりませんでした。
三重県内資料以外では、『室町幕府守護職家事典』に「仁木氏」の章があり、仁木義長についても記述があり、出典も示されています。
参考資料:二見町史 二見町史編纂委員会/編 二見町役場 1988,
参考資料:美里村史 上巻 美里村/編集 美里村 1994,
参考資料:伊勢名勝志 宮内 黙蔵/著 三重県郷土資料刊行会 1974,
参考資料:勢州軍記 上 註訳 [神戸 良政/著] 三重県郷土資料刊行会 1984,
参考資料:伊賀旧考 伊乱記 〔菊岡 如幻/原著〕 伊賀市上野図書館 2010.8,
参考資料:室町幕府守護職家事典 下 今谷 明/編 新人物往来社 1988.11,
備考:神奈川県史 / 神奈川県企画調査部県史編集室編 資料編 3 古代・中世 3上 横浜 : 神奈川県 , 1975
p.7
三一五六 上杉重能施行狀寫 多田幸太氏所蔵文書
建武元年三月廿八日
に、
仁木義長が(武蔵国久良岐郡)富岡郷を拝領した文書が慶されているとの情報を近畿大学図書館から情報提供いただきました。
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