ご照会の件について、以下のとおり回答します(【 】内は国立国会図書館請求記号、インターネット最終アクセス日は2024年4月4日です)。
竹中英治氏の戦後の経歴については、公職資格審査に関する記事(資料1~資料5)のみ見つかりました。
資料1では、資格審査を受けた中央各庁公職者の中に、厚生省嘱託の竹中氏が含まれています。
竹中氏は昭和22年11月28日、資格審査の結果、最後の階級が大佐であったことを理由に、公職追放対象者該当の仮指定を受けました(資料2)。
昭和24年に総理庁(旧総理府の前身)が編集した資料3においても、竹中氏は「一般該当者名簿」に掲載されており、「該当事項」は「正規陸軍将校」となっています。
上記指定は、昭和26年9月5日の公告により解除されました(資料4)。
昭和27年1月7日に公告された資格審査結果においても、竹中氏は非該当者とされました(資料5)。
マッカーサー元帥が1945年8月30日に厚木飛行場に到着した際、竹中氏が飛行場にいたかどうかは確認できませんでした。
なお、資料6では、当時首相であった東久邇宮稔彦が、「マッカーサー元帥が、三十日に厚木飛行場に到着した時に、私は元帥を迎えに行くつもりであったが、米国側から―いわゆる出迎えは受けない、新聞通信関係者は来てよろしい―とのことだったので、行かなかった」(p.161)と記しています。さらに、秘書官が朝日新聞記者の話を東久邇宮に報告した内容として、「日本の接待者は出迎える必要なし、ということで、誰も出迎えず、ただ各新聞社より記者一名づつ、カメラマンとニュース映画の撮影者が一名づつ、許されて出迎えたわけだった」とも記しています(p.164)。
なお、資料7では、「マ元帥の到着に先だち、厚木基地内にはいれるものは警備員を除き、日本側では折衝連絡委員と新聞記者(各社とも二名の限定)のみとし、政府及び県側からの出迎えはいっさい必要ない、というマ元帥の意向が伝えられた。このため基地内で出迎えをする者は、折衝連絡委員長有末中将・鈴木終戦連事務局長など数名の者と内外の記者団合せて約五〇名、警察側では(中略)三名のみであった」(pp.53-54)とされています。しかし、有末氏の著書(資料8)には、マッカーサーは到着時に新聞記者以外には会わない意向であると知った有末氏が、マッカーサーの到着前に横浜へ移動した旨の記述があり、有末氏の執筆記事(資料9)では、「私はマッカーサーの到着を見ずに横浜へ出発した」(p.211)と明記されています。
資料1:「資格審査結果公告 第十八号」『官報』昭和22年11月7日, 号外, p.14.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(インターネット公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/2962768/1/13>
資料2:「資格審査(仮指定)結果公告 第一号」『官報』昭和22年11月28日, 号外, p.85.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(インターネット公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/2962786/1/49>
資料3:総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会, 1949, p.637.【R329.8-So55ウ】
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(インターネット公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/1276156/639>
資料4:「指定理由取消公告 第四号」『官報』昭和26年9月5日, 号外74号, p.4.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(インターネット公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/2963949/1/12>
資料5:「資格審査結果公告 第五十二号」『官報』昭和27年1月7日, 号外1号, p.4.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(インターネット公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/2964050/1/12>
資料6:東久邇宮稔彦『私の記録』東方書房, 1947, pp.101-106.【304-H445w】
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(個人・図書館送信対象資料)<https://dl.ndl.go.jp/pid/2985730/1/90>
資料7:『神奈川県警察史. 下巻』神奈川県警察本部, 1974, pp.52-55.【AZ-1351-16】
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(個人・図書館送信対象資料)<https://dl.ndl.go.jp/pid/9768832/1/45>
資料8:有末精三『有末機関長の手記 終戦秘史』芙蓉書房, 1976, pp.101, 106-107.【GB566-24】
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(国立国会図書館内限定公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/13214032/1/58>
資料9:有末精三「ジャングルから来た男たち」『文芸春秋』34(8), 1956.8, pp.204-211.【Z23-10】
※国立国会図書館デジタルコレクション収録資料(国立国会図書館内限定公開)<https://dl.ndl.go.jp/pid/3198091/1/110>
(その他の調査済み資料)
・津島一夫 訳『マッカーサー回想記. 下』朝日新聞社, 1964.【289.3-cM11m-T】
・GHQ参謀第2部 編, Reports of General MacArthur. 第2巻, 現代史料出版, 1998.【GB541-A89】
・Eichelberger, Robert L., Our jungle road to Tokyo, Viking Press, 1950.【940.542-E34o】
・増田弘『マッカーサー フィリピン統治から日本占領へ』(中公新書 1992)中央公論新社, 2009.【GB566-J13】
・河原匡喜『マッカーサーが来た日 8月15日からの20日間』新人物往来社, 1995.【GB566-E44】
・外務省 編『終戦史録 5』北洋社, 1978.【GB531-59】
・江藤淳 編『占領史録. 1 (降伏文書調印経緯)』講談社, 1989.【GB566-E15】
・『神奈川県史 通史編 5 (近代・現代 2 政治・行政 2)』神奈川県, 1982.【GC74-3】
・『大和市史. 3 (通史編 近現代)』大和市, 2002.【GC78-63】
・鹿島平和研究所 編『日本外交史 26』鹿島研究所出版会, 1973.【A99-Z-8】
・山田邦紀・坂本俊夫『「昭和鹿鳴館」と占領下の日本 ジャパンハンドラーの源流』現代書館, 2022.【GB566-M16】
・小長谷睦治『私の海軍時代』小長谷宏道, 1989.【GK76-E44】
・大谷勲『夏の肖像』光人社, 1986.【GB554-2130】
・篠田五郎『天皇終戦秘史』改訂版, 大陸書房, 1980.【GB531-104】
・山田秀三郎『罪悪と栄光 敗戦時の裏面秘録』大日本皇道会総本部, 1970.【GB561-11】
・佐藤六郎「米軍 厚木基地進駐の思い出」『水交』(355), 1983.8, pp.10-14.【Z24-218】
(その他の調査済みデータベース、インターネット情報等)
・国立国会図書館サーチ <https://ndlsearch.ndl.go.jp/>
・国立国会図書館デジタルコレクション <https://dl.ndl.go.jp/>
・国立国会図書館リサーチ・ナビ <https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi>
・国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)<https://warp.da.ndl.go.jp>
・国会会議録検索システム <https://kokkai.ndl.go.jp/>
・ジャパンサーチ <https://jpsearch.go.jp/>
・国立公文書館デジタルアーカイブ <https://www.digital.archives.go.jp/>
・国立公文書館アジア歴史資料センター <https://www.jacar.go.jp/>
・防衛省防衛研究所 <http://www.nids.mod.go.jp/military_archives/>
・外務省外交史料館 <https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/index.html>
・官報情報検索サービス(当館契約データベース)
・朝日新聞クロスサーチ(当館契約データベース)
・ヨミダス歴史館(当館契約データベース)
・毎索(当館契約データベース)
・日経テレコン21(当館契約データベース)
・産経新聞データベース(産経電子版)(当館契約データベース)
・中日新聞・東京新聞記事データベース(当館契約データベース)
・大宅壮一文庫雑誌記事索引検索 Web版(Web OYA-bunko)(当館契約データベース)
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)(当館契約データベース)
事前調査事項:下記の資料を確認しましたが、竹中英治に関する記述はありませんでした。
『第2次大戦事典1 日誌・年表』ピーター・ヤング/編 原書房 1984.12
『第2次大戦事典2 兵器・人名』ピーター・ヤング/編 原書房 1985.7
『日本陸海軍総合事典』秦郁彦/編 東京大学出版会 1991.10
『日本陸海軍人名辞典』福川秀樹/編著 芙蓉書房出版 1999.12
『日本陸軍将官辞典』福川秀樹/編著 芙蓉書房出版 2001.02
『日本軍事史年表昭和・平成』吉川弘文館編集部/編 吉川弘文館 2012.3
『通訳者たちの見た戦後史(新潮文庫)』鳥飼玖美子/著 新潮社 2021.6
『通訳者と戦後日米外交』鳥飼玖美子/著 みすず書房 2007.8
『マッカーサーの日本』カール・マイダンス/著 講談社 1995.07
『通訳者と戦争犯罪』武田珂代子/著 みすず書房 2023.6
備考:議官(レファレンス)
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