全国のかけ声の事例をまとめた資料は見つからなかったが、祭りの紹介文の中にかけ声に関する記述のある資料があった。
紹介した資料は、以下のとおり。
辞典類を調査
『祭礼事典 都道府県別 東京都』(東京都祭礼研究会編 桜楓社 1992)
現行の祭礼を五十音別配列したもの、掲載祭事の中にすべてではないが、掛け声、囃しことばの表記あり。掛け声のみの一覧はなし。
〈祭り〉〈御輿〉に関する資料を調査
『神輿大全 基礎知識から、歴史・製作・保管・修繕までを網羅した決定版』(宮本卯之助監修 誠文堂新光社 2011)
p138「弘前ねぷたまつり」に、「掛け声は独特のもので「ヤーヤドー」という。」とあり。
p155「伊万里トンテントン祭」に、「団車は「アラヨーイトナ」の掛け声とともに巡行。」「荒神輿は「チョーヤンサ」や「キーエワンカ」という相手を挑発する意味の掛け声をも掛けつつ進む。」とあり。
『江戸神輿』(小沢宏之写真 木村万里文 講談社 1981)
p92「浜降祭」に、「独特の茅ケ崎甚句を唄いながら、(中略)「ドッコイ ドッコイ」とかつぐドッコイかつぎ」とあり。
p106「大東京祭」に、「実行委員の芳村義明氏によると(中略)「ワッショイ」 深川祭りがこの古来からあるかつぎ方を守っている。朝鮮では神輿をかつぐときに「ワッセイワッセイ」と言うそうで、これの輸入によるもの」「ソイナー 神輿に沿いなの意味を含むかけ声。もともとは鳥越周辺のもの」「オリャッ 三社とくればこれ」とあり。
『江戸神輿春秋 春の巻』(林順信著 大正出版 1983)
p36「鉄砲洲稲荷神社祭礼」に、「おりゃ こりゃ すりゃぁ すりゃぁ」「巻舌風の掛け声がべらんめえ調で凄みがある。」とあり。
『江戸神輿春秋 秋の巻』(林順信著 大正出版 1983)
p60「深川富岡八幡宮祭礼」に、「深川木場亀井淳吉氏と下木会の大塚叙夫氏によれば(中略)平担伎の掛け声に「わっしょい わっしょい」「景気をつけろ 水撒いておくれ 塩撒いておくれ」で知られる。「わっしょいまかしょ」の声は江戸時代より寒詣の掛け声から(中略)、太平洋、日本海の漁師たちが多網を繰り上げる掛け声から「わっしょいこらさ」がある。」
他に「深川の古伝五種のかつぎ」に、舞上之儀「よおーよいよいのよい」、差上之儀「それさあせ さあせ さあせ さあせ さあせさあせ さあせさあせ」揉かつぎ「それ もめもめ もめもめ もめもめ」平かつぎ「それ わっしょい わっしょい わっしょい わっしょい」度独鈷かつぎ「それ どっこい どっこい どっこい どっこい」とあり。
『深川の祭り 1 江戸神輿図鑑 1』(木村喜久男、岡田睦子、今村宗一郎編著 アクロス 1998)
p122「私たちが子供の頃には「ワッショイ」「コラサー」「ドッコイ」などいろいろな掛け声がありました。それが戦後になって、「ワッショイ」担ぎに統一しようとした時に、木場だけは独特の「チョイサー」でいこうということになったようです。」とあり。
『日本の祭り 山車と屋台』(渡辺良正写真と文 サンケイ新聞社 1980)
p157「博多山笠」のかけ声に、「オイタッ オイタッ」あり。
『都道府県別日本の祭り・行事調査報告書集成 3 関東地方の祭り・行事』(海路書院 2008)
祭礼の調査をまとめたもの。一部に掛け声の表記あり。
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