葬祭業界の動向について、次のとおりご紹介いたします。
1 各種業種の動向が分かる資料
各種業種の動向が一冊にまとまっている資料の内、葬祭業に関係する業界について確認
しました。(3)の資料が最も詳細に記載されています。
(1) 『業種別業界情報 2012年版』
中小企業動向調査会/編著 経営情報出版社 2012
p.198~「墓地霊園」
p.244~「葬儀会館」
業界動向やマーケットデータ、業界の特性等が簡潔にまとまっています。
「葬儀サービス」に関しては「葬儀会館」の項目に記載があります。
「墓地霊園」の項目では「墓の形態が多様化」という項目があり、
その中で海上での散骨や手元供養について簡単に記載があります。
(2) 『TDB業界動向 2012-2』
産業調査部/編 帝国データバンク 2012
p.446~「冠婚葬祭」の項目で業界の概要や話題、動向が簡潔にまとまっています。
「冠婚葬祭業」の企業別収入高や経常利益、売上高等の統計データは
掲載されていますが、墓の形態、葬送の形式については記載はありません。
(3) 『業種別審査事典 第7巻(7001→7157)第12次〔全面改訂版〕』
金融財政事情研究会/編 金融財政事情研究会 2012
p.1205~「7-6冠婚葬祭・宗教関連」に各業界の市場規模、動向、
業務内容・特性等がそれぞれまとまっています。
p.1229~「葬儀屋」
「I 業種の理解」の「3 市場規模」「(1)業界構造」では新規参入が活発化しており、
葬儀サービスの担い手は葬儀専門業者の割合が高いが、近年は異業種からの参入が
活発化しており、仏壇販売業者や墓石販売業者が川上展開として葬儀ビジネスを
手がける事例も増加していることが記載されています。
(p.1229~1230)
p.1235~「葬祭会館」
「I 業種の理解」の「3 市場規模」「(1)業界構造」でも「葬儀屋」と同様、仏壇販売業者
・墓石販売業者が川上展開として参入していることについて記載があります。(p.1236)
p.1241~「墓地霊園業」
「I 業種の理解」の「1 業種の定義」の中で「宗教法人や公益法人や一般に墓地
霊園の開発や販売に関するノウハウや営業力などをもっていないため、墓地霊園の開発
・販売にあたっては、ディベロッパー(開発業者)や墓石小売業者などの関連業者と提携
するのが一般的である。」とあります。
また、「Ⅱ 業界の動向」の「2 課題と展望」の中で墓地の形態について「樹木葬や散骨
という墓を不要とする方式も現れている。」という記載があり、今後の展望について述べら
れています。
(4) 『日経MJトレンド情報源 : マーケティング・ハンドブック』
日経MJ(流通新聞)/編 日本経済新聞出版社 2011
日経MJの記事をベースにして、消費のトレンドとマーケティングの最前線の動きについて
まとめた資料で、毎年刊行されています。
「7 サービス業総合調査」として日経MJが実施した調査結果の中で「葬祭業」につい
ての簡単な動向と全国の有力企業の売上高のランキング(p.248「葬祭業」)が掲載され
ています。
2 葬儀・葬送業界の業界動向資料・調査レポート・白書
葬祭業界についての動向や調査レポート、統計等が、詳細に記載されている資料を紹介します。
(1) 『葬祭ビジネス市場動向 2012』ボイス情報株式会社/調査・編集
ボイス情報 2011
葬祭ビジネスについての調査レポートです。「第1部 業界動向分析編」「第2部 葬祭
ビジネス市場ケーススタディ」「第3部 調査個表編」で構成されています。
第1部では「全国の葬儀費用及び香典返し・飲食代の平均」や「都道府県別の
葬儀の平均単価・葬儀施行数の傾向・葬儀の単価の傾向・地域情報」、葬祭ビジネ
ス市場規模の予測や今後の展望等について記載があります。
第2部では、葬祭関連企業9社のそれぞれの事業の概要やサービス、自社商品の紹介、
市場の動向、今後の展望等をが紹介されています。
第3部は「全国葬儀社・冠婚葬祭互助会一覧」(社名、所在地、社員数、資本金、売
上高等)が収録しています。
(2) 『葬儀白書』鎌倉新書 1997
葬儀市場の動向や事業者、経済分析、主要葬祭関連用品市場等、詳細に記載が
ありますが、出版が古い資料となります。
p.696~「Ⅱ.散骨」
散骨について2ページ程度記載があり、問題点等について述べられています。
(3) 『最新葬儀業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』吉川美津子/著
秀和システム 2010
葬儀業界の市場規模や動向、今後の展望等について記載があり、関連業者の動向に
ついても記載があります。
(4) 『フューネラル[ビジネス&マーケット]データファイル』綜合ユニコム 2012
こちらの資料は当館では所蔵しておりません。
葬祭関連の調査データや統計資料について詳細な情報が掲載されています。
2008年、2010年に刊行された『フューネラルビジネス白書』(綜合ユニコム)の改題です
ので以前の状況を知りたい場合は『フューネラルビジネス白書』をご参照ください。
内容は出版社のサイトで確認できます。
・『フューネラル[ビジネス&マーケット]データファイル』
http://www.sogo-unicom.co.jp/data/book/1420120302/index.html
・『フューネラルビジネス白書2010』
http://www.sogo-unicom.co.jp/data/book/1420100301/index.html
・『フューネラルビジネス白書2008』
http://www.sogo-unicom.co.jp/data/book/1420080301/index.html
横浜市立図書館、神奈川県内の図書館では三冊とも所蔵していません。
東京都立図書館は三冊とも所蔵しています。
国立国会図書館では『フューネラルビジネス白書』2008年版、2010年版の二冊のみ
所蔵しています。
3 業界地図
企業の勢力や提携、出資関係等、その業界や企業の最新動向が簡単にまとまっています。
市内でも複数の図書館が所蔵しており、貸出が可能です。
(1) 『会社四季報業界地図 2012年版』
東洋経済新報社/編 東洋経済新報社 2011
p.183「葬式」1ページで市場規模、企業間の関係等が図で示され、説明があります。
4 統計
(1) 『特定サービス産業実態調査報告書 冠婚葬祭業編 平成22年』
経済産業省大臣官房調査統計グループ/編 経済産業統計協会 2012
経済産業省が毎年実施している「特定サービス産業実態調査」の報告書で、特に冠婚
葬祭業の調査結果についてまとめた資料です。
事業所数、従業者数、売上高等の基礎データが分かります。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabizi/index.html
中央図書館4階統計資料コーナーでも冊子は所蔵していますが(館内閲覧用)、
調査結果はインターネット上で公開されています。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabizi/result-2.html
5 葬祭業界に関する専門雑誌
葬祭業界の最新のニュースや動向が詳細に分かります。
(1)~(3)の資料は、全て横浜市立図書館では所蔵しておりませんが、国立国会図書館
では全て所蔵しています。
(1) 『フューネラルビジネス』綜合ユニコム 月刊
最新号の目次は出版社のホームページで閲覧できます。
http://www.sogo-unicom.co.jp/funeral/mag/201209.html
左メニューの「バックナンバー」からバックナンバーの内容も確認できます。
大学図書館では龍谷大学深草図書館(京都府)で所蔵しています。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12549887
(2) 『Sogi』表現文化社 隔月刊
出版社のホームページの左メニューには「評論」「葬儀断章」「現代葬儀考」等の
コンテンツがあります。
http://www.sogi.co.jp/
また、各号の内容と項目別索引があります。
http://www.sogi.co.jp/sub/menu_publish.htm
神奈川県内の大学図書館では、専修大学が所蔵しています。
欠号もありますが、2005年まで所蔵しています。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11149646
(3) 『仏事』鎌倉新書 月刊
出版社のホームページに「寺院・葬儀・仏壇仏具・墓地墓石など供養業界を対象とした
ビジネス情報誌」とあります。
http://www.kamakura-net.co.jp/service/service03.html
各号の内容は「詳しい内容についてはこちら」のリンクから閲覧できます。
神奈川県外ですが、複数の大学で所蔵しています。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11544163
6 海洋散骨や手元供養について
1~5で紹介した資料の他に、葬祭関係の図書や雑誌記事で詳しく取り上げられていました
ので、ご紹介します。
(1) 図書
当館の蔵書検索システムの検索及び本のラベル番号が「385.6(葬送)」の書架を確認しま
した。関係資料は多数ありますので、検索結果の中から一例をご紹介します。
ア 『自分らしい葬儀とお墓の全てが分かる本』
自分らしい葬送を考える企画委員会/編 三省堂 2009
イ 『手元供養のすすめ』山崎譲二/〔著〕 祥伝社 2007
手元供養の考え方や手元供養品の紹介から、新しい葬送方法として散骨についても
記載があります。
p.114~「散骨」
ウ 『お墓に入りたくない人入れない人のために 散骨・樹木葬・手元供養ほか
「お墓」以外の全ガイド』徳留佳之/著 はまの出版 2006
エ 『自然葬 宝島社新書』新葬制研究会/著 宝島社 2000
出版年は古い資料となりますが、日本、世界の「散骨」の状況や新しい葬送の
形式について紹介されています。
その他、関係資料を探す場合は、横浜市立図書館蔵書検索システムで「手元供養」
「自然葬」「散骨」等のキーワードでの検索してください。
(2) 雑誌
国立情報学研究所Cinii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)で「手元供養」
「散骨」のキーワードで検索しました。
次の雑誌は横浜市立図書館で所蔵しております。
ア 「自然葬 樹木葬から散骨、宇宙葬まで種類豊富 (特集 誰も知らない巨大ビジネス
寺と墓の秘密) -- (「墓」編 正しい墓の選び方 どこにどんな墓をつくるのか 今だから
こそじっくり考えよう) 」
(『週刊ダイヤモンド』96(2), p.55, 2008-01-12)
イ 「寺 加速する仏教離れ、寺離れ 檀家依存の収入基盤は崩壊 (特集 最新調査 寺・
墓・葬儀にかかるカネ)」
(『週刊ダイヤモンド』97(4), p.34~43, 2009-01-24)
新たな弔い方として動向や事業者、メーカの一覧等が簡単に記載されています。
p.50「散骨」
p.52「手元供養」
ウ 「ポスト「家墓」 共同納骨堂、マンション墓、手元供養、散骨… (葬式と墓)
-- (お墓編) 」高橋 繁行(『エコノミスト』88(53), p.33~34, 2010-09-21)
エ 「先祖代々のお墓に入りたい人は四割 樹木葬、散骨、共同墓……
理想の死に方最新事情 (病院、介護、大往生! 全解決帖 : 2012年決定版!
あなたと家族を救う知恵が満載) -- (大往生編) 」
大高 志帆(『プレジデント』50(24), p.76~79, 2012-09-03)
次の論文はインターネット上で本文が閲覧できます。
オ 「今日における先祖供養の商品化 : 手元供養の事例(第八部会,<特集>第六十六回
学術大会紀要) 」
内藤 理恵子(『宗教研究』81(4), p.1173~1175, 2008-03-30)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006646402
本文がインターネット上で公開されています。
「CiNii 論文PDF - オープンアクセス」のリンクをクリックするとPDFファイルが開きます。
7 参考
今回の調査では次のインターネットサイトを参考にしました。
(1) 国立国会図書館リサーチ・ナビ
「冠婚葬祭ビジネスの調べ方」
http://rnavi.ndl.go.jp/business/entry/post-65.php
(2) 国立国会図書館リサーチ・ナビ
「冠婚葬祭ビジネスについて調べるには」
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102334.php
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